美談? 宣伝? 2


デルタ便に搭乗できなかった人に,アラスカ航空のスタッフが自腹でチケットを買ってあげたという話がニュースになっています.本当ならかなりの美談だとは思いますが,話にどうも辻褄の合わないところもあり,シアトルの覇権を巡ってデルタと争っているアラスカ航空のイメージ向上を狙ったリークではないかと見る向きもあります.

状況はこんな感じだったようです.ここでは記事をそのまま訳すだけで,辻褄の合わないところは後でまとめて指摘します.

  1. バンクーバー在住のTさんがカリフォルニア州オンタリオへ出張にでかけるため,往復ともシアトル経由のフライトをデルタで予約.
  2. 往路はシアトル便が天候・機材故障のダブルパンチを受けて遅延.ようやく出発したものの,シアトルの悪天候のためポートランドへダイバートしてからシアトルに到着したので当然オンタリオへのフライトには間に合いませんでした.その日はデルタの負担でシアトルに泊まり,翌日無事オンタリオに着きました.
  3. 帰り,オンタリオの空港でチェックインしようとしたところ座席を割り当ててもらえず,「ゲートで座席をあげるから,とにかく走れ!」と言われて大急ぎでゲートへ向かいましたが,すでに出発した後でした.
  4. 仕方ないのでカスタマーサービスへ.アラスカ航空とデルタが何が起こったのかを調べたところ,「シアトル便の遅延の後,シアトル~オンタリオのために残りの運賃を全部使ってしまい,帰りの分がなくなった」ということがわかりました.
  5. デルタは翌日のフライトなら乗れると言いますが,泊まるあてのないTさんは途方に暮れるばかり.
  6. 見かねたアラスカ航空スタッフがやおら自分のクレジットカードを出してチケットを購入し,Tさんをその日のうちに帰らせてくれました!!!

これだけ読むとアラスカ航空スタッフがヒーローみたいな話ですが,お気づきの通りいろいろとわからないところがあります.

  • 帰りのチェックインとその後の状況からすると,どうも空港到着が遅れただけのような感じがします.チェックイン期限に遅れた上に,出発15分前にゲートにいなければ,席をスタンドバイに取られてチケットがキャンセルされても仕方のないところです.
  • 4.の説明も意味不明です.復路の運賃を往路に使うなどという荒業は聞いたこともありません.キャンセルの原因はやはり遅刻ではないかと思われます.
  • 4.で突然アラスカ航空が登場するのも謎ですが,これはオンタリオ~シアトルのノンストップがアラスカ航空運航便しかないことから,おそらくデルタ便名・アラスカ運航のコードシェアだったのでしょう.乗客の遅刻ならデルタに責任はありませんが,発券航空会社として flat tire rule を適用して次に空きのある自社便へ振り替え,それが翌日しかなかったのかもしれません.
  • 件のアラスカ航空スタッフも,片道正規運賃を負担したかどうかは疑問です.記事にも “travel voucher” という文字が散見されますので,航空会社職員が安く飛行機に乗れる buddy pass (友人にも譲渡可能) を使った可能性があります.

メディアの記事は,事情を少しでも知っている人が読むと噴飯ものであることが多いですが,これもその一つかもしれません.


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2 thoughts on “美談? 宣伝?

  • NWエリア

    往復ルートでたいした距離でもないのに、双方で珍しいイベント。ぎりぎりの到着でアップグレードや他便振り替えなどをあえて図ったようかの勝手な行動のように見受けられますが。自演自作、仕組まれたメディアぐるみのPRでしょうか。でもTakさんコメントのBuddy Passもあり得るかもしれません。
    余談ですが、以前デルタに乗った後、バゲージ 引き取りの際、スーツケースが壊れてでてきたので、苦情を言ったことがありますが、よくあることなのでこちらでは責任はないと、まったく聞く耳を持たない無神経な対応をされたことがあります。その上司も同様の対応でした。その1年前に同様の問題があり、アラスカでは、修理対応の手続き (まあ日本の感覚からすれば当然であろうと思われる)を淡々としてくれたことを覚えていました。フラストレーションがたまっていて、DLとALは、バゲージクレームのカウンターは、それほど遠い場所ではなく、たまたまALのクレームカウンターで、破れの部分を見せたら、DL・ALの共同便なら保障対応が出来ますよといわれたことがあります、とてもうれしかったですね。DLは、確かアトランタからの便でしたので、DL専用ルートででした。後日DL本社に苦情のレター(破損の写真、DLカスタマーサービスの対応、ALコメントと過去の対応)を書いたところ、保障のバウチャー$と丁寧なお詫びのレターが送られてきました。その後、空港のバゲージカウンター付近で、そのDLの対応者を見かけることなかったと思います。

    • tak Post author

      NWエリアさん

      自作自演かどうかまではわかりませんが,このAS職員の実話にASのPRが目を付けた可能性はあると思います.無関係な往路の遅延の話が入っていたり,ぎりぎりに空港に着いたことをぼかして書いたりしているあたり,話を膨らまそうとした形跡はありますね.
      私は幸い荷物をひどく壊された経験はありませんが,見聞きする限りでは修理か同等品との交換が普通のようで,そのDLの対応はいただけませんね.リーズナブルな要求にその場で対応してもらえなければ,後でカスセンに苦情を送るのはよい方法だと思います.