先日,ついに初の世界一周航空券 (RTW) を発券しました.きっかけは,FlyerTalkで「円安で日本発のRTWが安くなっている」という投稿を見たことです.RTWといえば疾風さんがベテランで,彼から聞いてヨハネスバーグやカイロ発が安いことは知っていましたが,そんなところだと発券もポジショニングも大変なので二の足を踏んでいました.しかし,日本発ならポジショニングのために行くのはやぶさかではありませんし,発券も敷居が低そうです.
世界一周運賃とは
RTW運賃は,その名の通りある都市を出発して西または東回りで地球を一周し,同じ国 (地域の場合もあり) へ戻ってくる航空券です.RTW運賃は各アライアンスにあり,陸路区間を含めて16セグメントまで,ストップオーバー数の下限が決まっているというところまでは共通ですが,細かいルールはかなり違います.一番大きな違いは,スターアライアンスとスカイチームでは総フライト距離の上限により運賃が決まるのに対し,ワンワールドは通過する大陸数で決まることです.
航空券自体はつながっていますが,もちろん途中に別切りの航空券を入れることも可能です.私の場合,一度に飛べるほど長い休みは取れませんので,ストップオーバーを利用して何度か帰ってくることになります.
なぜ世界一周運賃か
RTW運賃で発券する理由はいろいろありますが,主には以下の2つだと思います.
- マイル単価が安い:個別に発券するよりも安くなる場合が多いです.
- 自由にたくさんの都市を回れる:普通の格安有償航空券に比べてストップオーバーや変更の自由度が高い上,特典のように空席状況に振り回されることもほとんどありません.
主なRTW運賃には以下の種類があります.
アライアンス | 距離・大陸数 | エコノミー | ビジネス | ファースト |
---|---|---|---|---|
ワンワールド | 3大陸 | LONE3 | DONE3 | AONE3 |
4大陸 | LONE4 | DONE4 | AONE4 | |
5大陸 | LONE5 | DONE5 | AONE5 | |
6大陸 | LONE6 | DONE6 | AONE6 | |
スターアライアンス | 29,000マイル | YRWSTAR1 | CRWSTAR1 | FRWSTAR1 |
34,000マイル | YRWSTAR2 | CRWSTAR2 | FRWSTAR2 | |
39,000マイル | YRWSTAR3 | CRWSTAR3 | FRWSTAR3 | |
スカイチーム | 26,000マイル | KRTWSKY4 | IRTWSKY4 | — |
29,000マイル | KRTWSKY3 | IRTWSKY3 | FRTWSKY3 | |
33,000マイル | KRTWSKY2 | IRTWSKY2 | FRTWSKY2 | |
38,000マイル | KRTWSKY1 | IRTWSKY1 | FRTWSKY1 |
ワンワールドの場合マイル数は工夫次第ということになりますが,結論から言うと3大陸でも5万マイルを超えることができます.つまり,マイル数を稼ぐのであれば断然ワンワールドです.
どのRTW運賃を使うか
これはもう人それぞれですが,私は下記の理由によりワンワールドにしました.
- 出張ではアメリカンを予約しにくいが,ステータスは維持したい
- 総フライト距離の上限がない
エコノミーでこの距離を飛ぶ気はしないのでビジネスクラスとし,まずは一番手軽な3大陸を選択しました.最初の”D”が運賃クラスを表すので,ビジネスのDクラスに空きがあるフライトを予約できることになります.日本発DONE3のベース運賃は657,000円,つまり約5,580ドルです.これが例えばアメリカ発だと$10,963.93とほぼ倍になってしまいます.
ワンワールドRTWのルール
ルートを考える前に,まずルールの確認です.ワンワールドの場合,オンラインで旅程を組み立てられるサイトがあり,そこでもルールに沿ったルートかどうかを確認できます.細かなルールはもっとありますが,大雑把にはこんな感じです.
- 当然ですが,日本 (アジア・オセアニア)→南北アメリカ→ヨーロッパ・中東・アフリカの東回りか,その逆の西回りのどちらか一方向しか進めません.ただし大陸内で逆方向へ飛ぶのはOKです.
- 出発地を経由することはできません.
- 陸路を含めて3~16セグメントが使えます.大陸内の最大セグメント数は北米のみ6,その他は4.
- 同じ区間を同方向に2回以上飛ぶことはできません.また,北米・オーストラリア内の大陸横断ノンストップ便は1回しか使えません.
- ストップオーバーは2回以上必要です.出発大陸内のストップオーバーは2回まで,その他は無制限.
ルートを考えるのが一番楽しいと疾風さんがおっしゃっていましたが,その通りかもしれません.飛んだことがないのでそちらの楽しみはわかりませんが・・・ そのルート選びの模様は次回にて.
いつもながら正確な解説と緻密な分析で、とても参考になりました。
いえいえ、私は某師匠と比較すれば、ベテランでも何でもなく、ひよっこ同然です(笑)。
ご指摘の通り、三大アライアンスのRTWの中では、マイル稼ぎ放題のOWが一番面白いですね。
また、同一都市で途中降機何度でも可能な点、DFW-ANC/SCL-IPC/LHR-ALAなど同一大陸内でのロングフライトが多いのも魅力的です。
但し、欧州及び中東はLHR発の制限が厳しくなり、ALA/MCT/ISTなどは2往復できなくなり、今ではGYDぐらい?しかできないのが残念です。
仰せの通り、RTWはルート作成期間中が一番楽しく、複雑過ぎる旅程の為、殆どの場合フライトは苦行になりますね(苦笑)。
次回のルート選びの記事も楽しみにしています!
疾風さん
いえいえ,こちらこそいろいろと教えていただきありがとうございました.スタアラもメンバーが充実していますし,MPMぎりぎりを攻める面白さはありそうですが,OWでマイルを最大化するのは面白かったです.
フライトは苦行ですか・・・それは困りました(笑).
Eチケット以前のペーパーチケットの時代は確か20セグメントまで発券可能だったと思うので、Eチケットで便利になった反面
セグメント数が減ってお得感が後退してしまいました。
2000年台前半にソウル発の5大陸ファーストクラスを発券した際は60万円程度でしたので、今思うと格安でした。
sabana grandeさん
おっしゃるとおり,16セグメントはEチケットの制限のようですね.メモリもドライブも安くなって昔の制限を引きずる必要はない気もしますが,今さら増やすのは大変なのでしょう.
5大陸で60万円は安いですね! 今回は円安のおかげで割安感がありましたが,3大陸でも80万円近くかかりました.
2006年~2007年頃にRTWの16セグメント制限始まったと記憶していますが、あの時は円安でしたからねえ。
2009年のソウル発券は、AONE3で合計50万程度(CRWSTAR3は60万程度)。
2012年のスーダン発券は、AONE4で合計55万前後だったと記憶しています。
上記やsabana grande さんの時と比較すると、RTWは高くなりましたし、色々と制限事項が増えて、割安感が減ったのは事実です。
しかし、その分キャリア/路線網/Fラウンジ/新機材も以前よりも充実して、違う楽しみも増えました。
疾風さん
AONEがその値段というのはうらやましすぎます.今JNB発を見てみましたが,もろもろ入れるとAONE3でも1万ドル近く行きそうです.しかし,キャリアは確実に増えましたね.QR,ULは今回かなり活用させてもらいます.
こんばんは、RTWの話なら加わらせていただきたいです。
ルート考えるのは病みつきになりますね。効率よく組めた時の快感はたまらないものがあります。
過去に何度かRTW使いましたが、全てスターアライアンスの29000マイルのエコノミーです。
きっかけは2009年にイラク北部のクルド人自治区エルビルへ、メジャーな航空会社では
オーストリア航空だけが飛んでいる事を機内誌その他の情報で知ったからですね。
当時は治安も非常に良くビザもいらず人々も非常に親切で行って大正解でした。
その他記録をたどればウガンダ・エンテベ、南キプロス・ラルナカ、イエメン・サナア、
アルジェリア・アルジェなど…その後いろいろ起こった場所ばかりですね…。
後はRTW使うとNH/LXはエコノミーからビジネスへアップグレード出来るのが、
NHで貯めていた私としては非常にメリットがありました。有効期限が長く行程も組みやすく
年中値段が変化しないでストップオーバーしやすいのも○。
次にRTWのお世話になるとすれば確実にワンワールドの4大陸でアジア~欧州~
南米~オセアニア~アジアの行程です。ロンドン~アルマトイ、イースター島、ニューカレドニア、
そして本命は事実上LANでしか行けないフォークランド諸島。
すいません、妄想入りました。tak様のお話の続きを楽しみにしております。
OYAJIMAFIA@ARABさん
RTWかなり経験されているようですね! しかもいろいろなところへ.確かに今は行きにくいところばかりですね.イースター島,フォークランド諸島も面白そうです.
私は今回距離と機材を優先しましたが,行き先メインで次を考えたいと思います.飛ぶ前からこんなことを言ってもしょうがないんですが(笑).
大陸内で逆方向へ飛ぶのはOKというのは、一般的な世界一周航空券のルールかと思っていましたが、デルタの世界一周アワードではストップオーバー地点ベースでの逆行は不可でした(トランジットであれば逆行はOK)。
加えてデルタでは通常の特典と世界一周の枠が異なるらしく、全く空席がなかったです。
sabana grandeさん
AA,DLのRTWアワードはもうなくなってしまいましたね.アワードの場合は逆行等のルールが違うかもしれませんが,枠まで通常の特典と違うというのはちょっとびっくりです.そもそも少ない特典枠がますます厳しくなりそうです.
円安もありますが、DONE3で$10,963.93とはアメリカ発はずいぶん高いですね。
今発券を検討しているJNB発だとDONE4でベース運賃が約4,000ドル、税・サーチャージ入れても約5,000ドル
くらいなので、差が激しすぎる気がします。もっともビジネスクラスで16回も搭乗できることを考えると、本来1万ドルくらいはするべきなのかもしれませんが。。
OWも定期的に価格の改定を行っているようですが、それほど頻繁に行っているわけではないようですね。
ゆるりさん
はい,どういう基準で決まっているのかわかりませんがアメリカ発は高いです.為替レートだけではこの差は説明がつかないような気がします.確かにDクラスを別々に買うと1万ドルどころではないでしょうね.
今はJNB発が熱いみたいですが,発券・ポジショニングとも大変そうなので悩むところです.
私が今年初め発券した日本発もまだ変わっていないようなので,おっしゃるとおりそんなに頻繁に改定されるわけでもないようですね.
Takさん、
2017年修行用RTWを発券しました。ルートは、
1) NRT JL X/KUL JL* CMB お休みして別切りのQR航空券で米国地元へ、その後残りでCMBに戻り、
2) CMB UL BKK CX X/HKG CX X/LON X/DOH QR FRA QR X/DOH QR 地元でお休み
3) 地元 JL* X/DFW JL* X/MIA JL* X/LAX AA X/AUS JL* X/DFW JL* 地元で、最後に
4) 地元 JL TYO
と使います。*印を付けたJL便はコードシェア便で、フライオンポイントを稼ぐために入れました。
価格は総額696,400円で、航空券が656,900円、JAL発券手数料が5,400円、諸税34,100円でした。
以前に比べ米ドル換算でのお得度は下がりましたが、ビジネス楽々修行でこの金額ならまだ納得です。
AMEXのPLTで購入したので3万+のポイントが来るのが楽しみです。
白熊さん
おお,またRTWですか! QRが多いのがいいですね.MIA-LAXは機材がバラバラだし,しょっちゅう変更されるのでご注意ください (笑).
私は,プランニングが大変なのと,おっしゃる通りお得度が高いものがなくなってしまったので,とりあえず格安C狙いで行く予定です.早速CAI発アメリカが出ているようですが,うーん.
Takさん、
2015年、2016年と3年連続になりましたね。来年はこのRTWと日本出張2回でJALのダイアモンドに到達する見込みですが、ここまでしてOWエメラルドを保持する必要があるのか考えたいと思いますが、私には解脱は無理か・・・(笑)。
BKKとFRAでストップオーバーを入れたので、この区間でSQやLHのFを入れていくかもしれません。
MIA-LAXは”今のところ”777機材ですがTakさんの例もあるので気持ちの準備をしておきます(笑)。
白熊さん
3年連続ですか・・・! OWエメラルドはFラウンジが使えたり,他のアライアンスに比べればご利益が多いとは思うのですが,本当に必要かというと確かに微妙ですね.先日のオフ会でも,特典でC以上に乗るからステータスはいらないという方が結構いらっしゃいました.
私のRTWでも,SINストップオーバーを入れてSQ特典で帰ってきたり,スタアラ特典でDOH往復したりして,変化をつけました.