Air Passenger Duty 対策 8


航空券価格に転嫁される諸料金のうち,燃油サーチャージに次いで評判が悪いのが時に4万円近くにもなるイギリスの Air Passenger Duty (APD) です.

APDは,イギリスを出発する旅客に対してかかります.ただし乗継 (国際線なら24時間以内の滞在) の場合は対象外です.APDの額は2つの要因で決まります.

  • 搭乗クラス:最低クラスとそれ以外に分かれ,上級クラスはエコノミーの2倍になります.プレミアムエコノミーが別クラス扱いされる航空会社では上級クラスの値段が適用されます.
  • 目的地の首都までの距離:フライトの目的地ではなく,その国の首都であることに注意.日本だと東京でも大阪でも距離はあまり変わりませんが,アメリカの場合はボストンでもロサンゼルスでもAPDが同じというちょっと不思議なことになります.

2015年3月末までの額 (英ポンド) は以下の通り.

距離 最低クラス 上級クラス
Band A (0-2,000マイル) 13 26
Band B (2,001-4,000マイル) 69 138
Band C (4,001-6,000マイル) 85 170
Band D (6,001マイル以上) 97 194

CDG-LHR-JFKという旅程を例にとると,このようにただの乗り継ぎの場合はAPDが加算されず,Passenger Service Chargeのみになります.

apd_example_tfer-01.png

しかしストップオーバーにしたとたん,運賃は変わらないのにAPDの分が増えます.

apd_example_so-01.png

しかし,グッドニュースがあります.2015年4月1日から Band C と D がなくなり,Band B の138ポンドが最高額になるのです.ロンドン~東京は6,000マイルを少し切るぐらいですから,今までの85/170ポンドから69/138ポンドに下がるわけです.さらに,12歳以下の子供からは徴収しなくなります.

どうしてもイギリスに滞在しなければならない場合のAPD対策としては以下のようなことが考えられます.

  • 滞在を24時間以内にする.1泊しても,24時間以内に出国すればAPDはかかりません.
  • イギリスの次の目的地を近くにする.アメリカからパリへ行く途中に一度ロンドンに寄るのであれば,復路よりも往路にストップオーバーを入れたほうが安くなります.
  • イギリスを出るフライトをエコノミーにする.

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8 thoughts on “Air Passenger Duty 対策

  • nori

    私もLHRのAPDの高さには閉口していました。
    以前、AMSへ行くのとLHRへ行くのでは、4万円近く違ったこともありました。
    また私の場合、LHRへ入って、
    そこから先を別切り航空券で移動することも多いので
    実質トランジットだとしても、ド高いAPDを切り込まれてしまってます。

    でも、工夫次第で安くもなるんですね。
    今後は気をつけて、少しでも節約したいと思います。

    本題から外れますが、ひとつ教えてください。
    昨年よりKVSツールを申し込みました。
    特典検索が非常に便利になり助かっていますが、
    なぜかワンワールドのBA検索だけが動きません。

    念のため、BAの公式サイトへログインし
    特典を検索してみましたが、そちらでも検索できません。
    一時的なものかと放置してきたのですが、
    改善されませんので気になっています。
    takさんも、同様な状況でしょうか?

    • tak Post author

      noriさん
      私も実質乗り継ぎなのに・・・という経験を先日したばかりです.ようやくイギリスもAPDが観光業などに悪影響を与えていることを理解したようで,4月からの一部値下げはそれが理由らしいです.アメリカだともともとBand Bなので変わりませんが,日本からの往復だとかなりの値下げになりそうですから,朗報ですね.

      > BAの特典検索
      私が今試すと大丈夫でした.BAサイトでも駄目だとするとそちらが原因の可能性が高いですが,最新版にアップデートすると解決するかもしれません.http://www.kvstool.com/ によると

      Resolved: [Awards/BA-OneWorld] Method Issues 15 Aug 2014
      Be sure to upgrade to the latest version (7.7.4).

      とあります.

  • tkyk1229

    新ブログおめでとうございます!
    また、今年も何卒よろしくお願いいたします。

    LHRのAPDは高すぎますよね。
    毎年ロンドン詣をしているため、気になっています。。。
    そのため、出来る限りロンドンから出るときは、例えばLHR-FRAをYで移動して
    FRA-TYOをCやFにするなどで対応しています。
    takさんのおっしゃっている
    >イギリスの次の目的地を近くにする.アメリカからパリへ行く途中に一度ロンドンに寄るのであれば,復路よりも往路にストップオーバーを入れたほうが安くなります.
    >イギリスを出るフライトをエコノミーにする.
    に相当するのではないかとおもいます。。。

    • tak Post author

      tkyk1229さん

      こちらこそ,今年もよろしくお願いいたします.

      まさに完全なAPD対策をされていますね! 私の場合は今までLHRはほとんど乗継だけだったのですが,RTWでよくLHRを通りそうなので気になって調べました.しかし,普通に「滞在を24時間以内にする」で済ませそうです・・・

  • 疾風

    LHRの空港税の詳細なデータ付での特集ありがとうございました。
    なるほど、2年前にICN-LHR(S/O)-FRA(目的地)-LHR-ICNで、LHR乗継単純往復にしたのと大して料金変わらなかった理由がやっとわかりました。
    しかし、LHR空港はかなり混雑するので、わざと料金を高くして、LHRに集中するのを防ぐ狙いもあるんでしょうねえ。
    とは言っても、OW派でラウンジオタクの自分は、LHRの乗継だけは外せません(イミグレとセキュリティが五月蠅いのが難点ですが)。

    • tak Post author

      疾風さん

      はい,LHRの次がFRAならそんなにかからないはずです.

      LHRの混雑解消もあるかもしれませんが,S/Oに課して乗継に課さないのは「ロンドンに滞在するな」と言っているようなもので,やはりイギリス全体の経済には悪影響があると思います.

      OW乗りだとLHRは本当に避けて通れませんね (文字通り).BAが文句を言わないのも不思議です.

  • nori

    takさま、アドバイスありがとうございました。

    KVSツールが7.7.2だったので、早速アップデートしましたが、
    やはり検索できませんでした。

    なんとなく、BAにきちんとログイン出来てないような気がしたので、
    別のメールアドレスでもうひとつアカウントを作って試してみたら、
    BAサイト、KVSともに検索できるようになりました!

    はっきりした原因はいまだ不明ですが、解決いたしました。
    ありがとうございました。

    • tak Post author

      noriさん

      なるほど,BAへのログインの問題でしたか.いずれにしても解決してよかったです.