Airlines Reporting Corporation (ARC) という団体が,航空券の価格変動を調査しました.2013年1月から2014年7月までの間に旅行代理店で購入された往復航空券約1億3千万件について,航空券代金と出発日までの日数,購入した曜日の関係を集計したということです.金額にはサーチャージ・税金を含みます.
結果には役に立つ情報と役に立たない情報とがあります.
若干役に立つのは,出発までの日数と価格の関係です.国内線の場合,出発100日ほど前から購入数が増え始め,平均は約1ヶ月前.最安値は出発の50~100日前に出ることが多く,この時期の平均価格は全体の平均より$85ほども安いそうです.国際線の方は200日ほど前から購入数が増え始め,平均は約2ヶ月前と国内線よりだいぶ早く準備を始めるようです.価格は早くも150日前から上がり始めるとのことですが,グラフを見る限りでは100日前ぐらいまではほぼフラットです.国際線の事前購入期限で一番早いのは90日前ですから,そのへんとも合致します.
あくまでも平均で,実際の価格変動は需要や路線にもよりますが,どのくらいから計画を立て始めるべきかを考える参考にはなります.
一方全く役に立たない情報は,曜日との関係.国内線・国際線とも土・日が断然安かったということですが,これは当たり前じゃね? という結果です.土・日は高額な出張用チケットの購入がほとんどなく,レジャー旅行客が最安値を探して購入する方が多いわけで,必然的に安くなります.曜日による価格変動を正しく表しているとは言えないでしょう.この点はレポートも認めており,ARCは何も悪くありません.
ところが,ウォールストリートジャーナルという権威あるメディアまでもが “The Best Day to Buy Airline Tickets” と間違った方にフォーカスした記事を書いてしまい,航空業界の専門家から非難を浴びました.事前購入期限や運賃クラスごとの空き状況の影響に比べれば,曜日による価格の変動は無視できるほど小さいと思います.