東京はクラシックの演奏会がかなりあるのですが,オーケストラでしかも月曜日となるとあまり選択肢がありません.しかし,運よく大好きなオーケストラ・アンサンブル金沢 (OEK) の東京公演がサントリーホールでありました.OEKは日本唯一のプロ室内オーケストラですが,フルオーケストラまで含めても日本有数の実力を持っていると思います.
指揮は音楽監督の井上道義氏.私の好きな指揮者の一人です.曲目はベートーヴェンの「運命」をメインに,シューマンのヴァイオリン協奏曲,権代敦彦氏の「クロノス」という現代曲.現代曲の演奏に積極的なのもOEKの特徴です.
席はサントリーホールの特徴であるステージ後方を選びました.目の前の金管が聞こえすぎて音のバランスは悪いですが,値段が安い上に指揮者の動きや顔が良く見えるという利点があって,サントリーホールや大阪のザ・シンフォニーホールではよくここを選びます.私としてはある理由で見慣れた風景でもありますが,そこは深入りしないことにします.
開演前の舞台.「クロノス」はピアノ,バスクラリネット,ホルン,チェロ,打楽器の5人だけで演奏するので,変わった配置になっています.
打楽器の人が忙しそうだったり,ピアノの人が弦を触ったりして見た目には面白い感じでしたが,曲自体はよくわからんなあというのが正直なところ.某S氏「原案」の曲のように,一般受けする曲ではありません.
舞台を大急ぎで組み替えて,シューマンのヴァイオリン協奏曲.ソロは新進の若手です.あまり聴く機会のない曲で,私も生では初めてでした.終楽章はテンポが遅くて若干だれた感じもありましたが,ソロ・オケともテクニックは完璧.アンコールはバッハの無伴奏バルティータから.
休憩後,クラシックといえば誰でも思い浮かべる「運命」.上の写真と比べると間違い探しみたいですが,こちらが普通のオーケストラの舞台配置です.
アウェーで「運命」をやるのはなかなか勇気がいると思うのですが,集中力の高いすばらしい演奏でした.
後ろから見ていると楽団員が楽譜をシャッフルする様子でアンコールがあるかどうかが早くわかります.「クロノス」がギリシャ語で「時間」を意味するそうで,時間→テンポ→メトロノームと連想してベートーヴェンの交響曲第8番の第2楽章という粋な選曲でした.