この記事を書いていて思い出したのですが,ときどき見かける”Instant Upgrade”という運賃は少し注意が必要です.
アメリカンを例に取ります.予約コードの一覧はこのようになっています.
JFKからカリフォルニア州サクラメントへの航空券を買うとします.ファーストで往復$1,000ちょっとという,そこそこお得な運賃があり,詳細を見ると普通に予約コードPの「ファーストクラス」として表示されます.
ところが運賃ルールを見ると,Fare Basis Codeは”GXA7NJ6U”となっています.通常,予約コードはFare Basis Codeの最初の文字と同じなのですが,ここではエコノミーの予約コードGが使われており,最初に表示されていたものと一致していません.
これ以降,変更手数料などが書いてありますが,アップグレードについては何も書いてありません.ところがExpertFlyerで調べるとこういう一文があります.
ECONOMY FARE WITH AN INSTANT ONE-CLASS UPGRADE AT THE TIME OF PURCHASE TO FIRST/BUSINESS.
つまりエコノミーだけど購入時にアップグレードできる,という運賃なのです.よくよく見ると,$1,000前後の安いファーストクラス運賃はすべてこのinstant upgrade運賃であることがわかります.
普通に予定通り飛べば問題ないのですが,問題になる可能性があるのはキャンセル・遅延などの事情で他の便に振り替えられるときです.振替先の便のファーストが満席だとやむを得ずエコノミーにされてしまうのは正規のファースト運賃を払った場合でも同じですが,そのときは運賃差額を払い戻してもらえます.ところが,instant upgradeの場合はもともとエコノミーの運賃なので,エコノミーになってしまっても差額が返ってこないのです.
マイル加算についてはアップグレード後のPとして処理されるはずですが,ユナイテッドの場合はアップグレード前のエコノミー運賃として加算されてしまったという事例もあるようで,ちゃんと加算されるまで気が抜けません.