ユナイテッドがエリート資格取得に金額の基準を導入した話の続きです.朝は仕事前であまり書いている時間がなかったので...
以前デルタが同様の変更をしたときに,航空会社から見てエリート会員が得か損かという話をしました.航空会社がもしかしたら忘れているかもしれないのは,エリート会員の視点から同じ損得勘定をすることもできる,ということです.あるいは,社員を出張に送り出す企業の視点もあるかもしれません.
ユナイテッドのプレミア1Kの特典を,大雑把に金銭的価値の高いものから並べるとだいたい以下のようになるかと思います.
1. アップグレード券 (GPU6枚, RPU4枚)
2. 国内線無償アップグレード
3. エコノミープラス無料
4. ボーナスマイル100%
5. 国際線のラウンジ利用
6. 特典航空券の発券・変更手数料が無料
7. 同日のフライト変更が無料
8. 手荷物預け無料
9. 優先チェックイン・搭乗
このうち本当に1Kだけの特典は1.のGPU (国際線にも使えるアップグレード券) だけで,その他の特典はプラチナ以下にも程度の差はありますが付いています.
さてわれわれ会員側から見た問題は,1Kになるための費用がこの特典に見合うかどうかです.そこで,それぞれの特典を一般会員が使うための代替手段を考えてみます.
1.2.のアップグレードは,マイル+手数料でできます.安くはありませんが,逆にGPUと違ってどんな安いチケットからでもアップグレードできるというメリットがありますし,無償アップグレードのようにフライト数日前まで待つ必要もありません.また,時には上のクラスの航空券が意外と安いこともあります.
3.については,誰でも追加料金を払えばエコノミープラスに座れますし,最近年間パッケージ($499)が販売されるようになりました.
4.は,アワードアクセラレータを使えば1マイル2~3セントといったところでしょうか.
5.はラウンジ会員になるか,会員権が付いてくるクレジットカード (年会費$375) を持てばいいですね.回数が少なければ1回$50払うのもありかもしれませんし,SkyGuide Clubに入会するという方法もあります.
6.以下は,1回$75かそれ以下で誰でも購入できるものです.また,クレジットカード (年会費$95) でも8.と9.が付いてきます.
このようにして総合した1K特典の価値が1K取得にかかる費用を比べて小さければ,その会員はユナイテッドから離れるか,少なくとも1Kになる努力を放棄することを考え始めます.
次のステップは,ほかの航空会社に乗り移るメリット・デメリットの分析です.
米系で比べると,ユナイテッドの最大の強みは自社とスターアライアンスのネットワークだと思います.機材に関しては,国際線のビジネスクラスのシートはアメリカンに比べればいいですが,アメリカンも追いついてきています.エコノミープラスも他の2社が追随してきました.WiFiの導入は3社の中では一番遅かったし,食事やサービスも米系で一番いいとは言い難いです.カスタマーサービスはどこも似たり寄ったりですが,限られた経験から言えばデルタが一歩抜き出ており,次がアメリカンで,残念ながらユナイテッドが優れているとは思えません.
航空会社にとって一番いいお客はビジネスクラス・ファーストクラスをポンと買える人たちだと思いますが,彼らにはマイレージプログラムなんてどうでもよいのです.アップグレードは関係ないし,ラウンジは搭乗クラスで使えるし,出張のないときぐらい家でゆっくりしたいのでマイルの使い道もありません.逆に大事なのは,定時発着率,問題が起こったときのカスタマーサービス,WiFiなどのインフラ,シートの快適性,そして機内サービスです.残念ながら,今のユナイテッドにはそのような顧客を引き寄せる力はないと思います.
デルタはそこのところをよくわかっていて,優良顧客にアピールする部分を頑張り,アップグレードや特典航空券に関しては力を抜いているのではないかという気がします.そのような航空会社がエリート資格取得に金額の制約を設けるのはまだわかります.しかし,今のユナイテッドがそれを形だけ真似ても仕方がないと思うのですが,どうでしょうか.
私自身,来年以降どうするかはまだわかりません.実は今年はプラチナ止まりでいいかな,と思い始めていたところで,来年もその延長で無理せず行けるところまで行く,という感じになるのではないかと思います.特典航空券の取りやすさは気に入っているので,スターアライアンスのマイルは引き続きユナイテッドに貯めますが,Sapphire Preferredから移行するという手もありますので,フライトはワンワールド中心になるかもしれません.