燃油サーチャージは近年の原油コスト増に対応するため,ということになっており,アジア・ヨーロッパの航空会社ではもはや当たり前の制度になっているようです.ひどい場合には航空券代金のほとんどがサーチャージになってしまったという話も聞きます.
私の知る限りでは,アメリカの航空会社は燃油サーチャージを導入していないはずです.確かな理由はわかりませんが,アメリカでは日本のように運賃が認可制ではないので,簡単に燃料費の増減に対応できるためなのでしょうか.事情に詳しい方がいらっしゃいましたら,ご教示いただけるとうれしいです.
余談ですが,アメリカでは運賃が頻繁に改定されるので,残席が減ったわけでもないのに昨日より高くなっている,というのは日常茶飯事です.一方で,どこかの航空会社があるルートの運賃を下げると,競合他社も数時間後に同じ額まで下げてくる,ということも起こります.
それと関係するのかどうかわかりませんが,特典航空券に付随する燃油サーチャージに関しても,アメリカの航空会社は概して鷹揚です.例えば,ユナイテッドのマイルを使った特典航空券にスターアライアンス他社のフライトが含まれていても,燃油サーチャージはかかりません.アメリカンやデルタも,一部のパートナー以外はサーチャージがかからないと思います.
例えば,ANAの成田~JFK片道の場合,航空券代金には¥23,500の燃油サーチャージが含まれます.ところが,私が以前ユナイテッドのマイルでこのルートを飛んだときは,ソウル~成田のアシアナを含めて,マイル以外には$60ほどしか払いませんでした.ANAのマイルを使っていたら,$250ほど余計に払っていたはずです.
少し不思議なのは,燃油サーチャージがクラスに関わらず同じであることです.乗客1人を運ぶのに必要な燃料は同じで,運賃差は食事・サービス・広さの違い,と考えると理にかなっているような気もしないではないし,普通に航空券を買うとファーストクラスはファーストクラスなりに高額なので,あまり目立ちません.
ところが,特典航空券になると少し話が違ってきます.マイルのほか数万円も払わないといけないのでは,あまり”無料”チケットという感じがしません.それでも,ファースト・ビジネスクラスであればこのくらい負担するのは仕方ないかという気もするのですが,少し足せばエコノミーの格安航空券が買える金額であること,マイルが加算されないことを考えると,サーチャージがかかるプログラムの場合,エコノミーの特典航空券の意味はほとんどないと言ってよいのではないかと思います.
ビジネスクラスの特典航空券は通常エコノミーの倍程度のマイルが必要なので,単純に言えばビジネスで1回かエコノミーで2回かという選択肢になりますが,私のおすすめは,1回ビジネスの特典で行き,もう1回はエコノミーの航空券を買って行く (そしてマイルを次の特典に使う),というものです.