香港旅行 (10) 嵐のダラスに足止め・22時間遅れで帰宅 8


帰りはアメリカンでサンフランシスコ~ダラス~地元と飛びます.単純な国内線のはずが,ダラスで雷雨が続いたせいで帰宅は予定よりほぼ丸1日遅れてしまいました.経緯を全部書くと長くなるので,まずはショートバージョン.

  1. ダラスまでのフライトは一時ダイバートしそうになったものの,結局ダイバートを回避して2時間遅れでダラス到着.地元便も遅延で乗れそうと,ここまではラッキー.
  2. 地元便は3時間近く遅れて何とか出発できそうになったのに,最後の最後で機材故障の修理が間に合わずパイロットが勤務時間超過となり,真夜中にキャンセル.
  3. 翌朝のノンストップに振り替えてもらったが,これもホテルから空港へ向かう途中であっさりキャンセル.シャーロット経由に再振替.
  4. シャーロット便はラスベガス便と機材を奪い合った末勝利し,また故障があったのを修理して4時間半遅れで出発.シャーロットでこの日最後から2番目の地元便にぎりぎり間に合い,当初の予定より22時間遅れて帰宅.

お暇な方は,写真入りのロングバージョンをどうぞ・・・

ダラスまで:ダイバート回避

サンフランシスコからのフライトは正午頃の出発なので,10時過ぎにのんびりシャトルバスで空港へ.フライトまでアドミラルズクラブですごします.

ダラスからの到着便が少し遅れ,30分ほど遅れて出発.乗継は2時間半ほど見込んであるので問題ありません.機材はシートバックモニタ付きのA321です.

昼食の注文は最前列から取っていたため,最後列に順番が回って来たときにはラザニアしか残っていませんでした.私はどちらでも構わなかったのですが,隣の人はアジアンチキンサラダでなければいやだと言って断っていました.その後,昼食を食べないことにした客がいて,無事サラダがもらえたようです.ラザニアは温めすぎたのか端の方が少し焦げていましたが,国内線としてはまあまあの味.

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ダラスが近づいてきましたが,旋回を繰り返しているのでどうやらホールディングパターンに入った様子です.そのうちコックピットからのアナウンスがあり,ダラスの悪天候のため30分ほどホールド予定だが,それ以上になるようだとダイバートしなければならないかも,と不吉なことを言います.遅れた上にダイバートだと乗継が厳しくなりますが,こういうときはだいたい地元便も遅れるので,とりあえず成り行きを見守ることにしました.

そのうち本当にダイバートすることなりましたが,ダイバート先が Wichita Falls (SPS) と聞いたことがあるようなないような場所.調べるとダラスの北西,オクラホマとの州境に近いところで,空軍基地を兼ねた空港のようです.

しかし,飛行機の場所を見ていると一向にSPSに向かう気配がありません.そのうちやっぱり予定通りダラスへ向かうというアナウンスがあり,ほっとしました.最終的なルートはこちら.知らないうちにニューメキシコ上空でもホールディングしていました.なんだか先日のブリティッシュエアウェイズ機のようですが.

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ようやくダラス空港が見えてきました.

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着陸前にはきれいな虹.

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結局2時間以上遅れて20時前に到着.着陸したとたん私も含めほぼ全員の携帯が鳴り出したのは,一斉送信の洪水警報でした.

ダラス脱出:テイク 1

20時15分発予定の地元便もすでに21時30分まで遅れることが確定していたので,とりあえずセンチュリオンラウンジで食事しました.

使用機材の到着予定時刻を見ると到底21時30分に出発できそうになかったのですが,そのうち到着済みの機材に変更されて,期待できそうになってきました.ところが21時前にセンチュリオンラウンジを出てターミナルCのゲートへ向かっていると,Skylinkを降りたところで23時まで遅延という連絡が入りました.機材があるのに出発できないのはクルー待ちでしょう.もうちょっと前に決めろよと思いつつ,センチュリオンラウンジへ引き返します.

ワインをもらってのんびりしていると,別のクルーが見つかったのか急に出発が22時15分に早まりました.もう21時半なので慌てて飲み干し,再びゲートへ.

ところがゲートに着くと,「FAがまだ到着していない」というアナウンスがされているところでした.到着次第準備して出発するということなので,ゲートで待つしかありません.パイロットはすでにコックピットにいるようです.22時を過ぎてようやくFAが到着し,拍手と歓声に送られて機内へ入りました.

22時15分頃ようやく搭乗開始.パイロットの時間切れが迫っているということで大急ぎで搭乗しましたが,全員乗り終わっても出発する気配がありません.ここで機長のアナウンスがあり,小さな故障があるのでメカニックが来るのを待っているとのこと.23時15分になって修理が終わった様子で,やっと出発できると思ったら,機長がコックピットではなく前方ギャレーのマイクを取ったのでいやな予感がしました.

案の定「23時22分までに離陸しなければならなかったが,もう無理.もっと早く出発したかったのに修理に35分かかってしまった」と,タイムアウトの宣告です.代わりのパイロットを探すということで一旦降ろされました.こういう状況で簡単に交代要員が見つかるかなあ・・・と思っていたらとうとう夜中前にキャンセルになりました.

ダラス脱出:Take 2

ゲートのカウンターには長蛇の列ができましたが,上級会員の場合は並ぶより電話する方が早い場合がほとんどです.電話してみると意外にもほとんど待たずにつながり,翌朝11時前の便に振り替えてもらいました.そんなに空席はなかったはずで,並んでいたら無理だったと思います.電話の問題はホテルや食事のバウチャーがもらえないことですが,今回は状況からして長時間並んだ挙句部屋がないとか,天候理由だからダメと言われるリスクが高いし,エアラインが提供するホテルは信用できないので,自分で探します.上級会員の場合は事後に申請すれば返って来る可能性もあるようですが,それは後日別の記事で.

ダラス空港周辺は敷地内にハイアット系2つがあるのを初めホテルは豊富ですが,こう欠航が相次いでいてはさすがに厳しそうです.しかもアメリカンへの電話中に真夜中を過ぎてしまったので,オンラインではその夜の部屋は予約できません.各チェーンの一番近いホテルへ電話をかけ,周辺のホテルも含めて空室を探してもらったら,6マイル (10キロ) ほど離れたダブルツリーがようやく見つかりました.DFWの東にある Farmers Branch という名前からしてど田舎っぽい場所ですが,車なら15分ほどですし,1泊100ドル以下と払ってもらえなかったとしてもさほどダメージのない額です.

Lyftで移動し,1時頃チェックイン.フロントで私の前に並んでいた2人もキャンセルに遭ったようで,1人は気の毒にも朝6時のシャトルを予約していました.

部屋は古く,これといったことはありません.

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ダブルツリーでは通常水のボトルとクッキーがもらえますが,クッキーは品切れ.

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ソファのある広めの部屋にしてくれたようです.

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ダイヤモンド (とたぶんゴールド) は朝食券付でした.

翌朝も天気が悪く,使用予定機材の状況も芳しくありません.それでも定刻表示のままなので,やむを得ず出発1時間ほど前に着くように Lyft で空港へ向かいました.すると途中でキャンセルの連絡が入ったので,車中からアメリカンに電話.その後のノンストップはすべて満席で,定刻11時55分に出発するシャーロット経由を押さえてもらいました.

ダラス脱出:Take 3

アメリカンとの電話が終わったところで空港着.そのままアプリからチェックインし,セキュリティチェックを抜けました.フライトステータスを見るとすでにシャーロット便が14時5分まで遅れることになっていて,シャーロットからのフライトに乗れません.アドミラルズクラブに入りましたが,そこのカウンターにも数人並んでいたので,再びアメリカンに電話をかけて1本後に変更してもらいました.しばらくデスクでノンストップやフィラデルフィア経由の空き・遅延状況を見ながらどれが一番確実そうかを考えていましたが,ひとまず今のシャーロット経由に賭けることにします.

正午前にアドミラルズクラブを出て2日連続のセンチュリオンラウンジへ.受付では前回来た日がわかるらしく,「空港で一晩過ごしたの!?」と驚かれましたが,「いや,ホテルに泊まった」と安心させました.ここで昼食.新しいチキン料理はなかなかです.

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シャーロット便の使用予定機材はオースティンから到着しますが,ポジショニングなのか9千番台の変な便名です.それが無事オースティンを出発したのを見届け,13時過ぎにシャーロット便のゲートへ行ってみるとオースティン行の表示になっています.どうやらこれが出発した後でシャーロット便が使うようですが,13時半になってもオースティン便の搭乗が始まりそうにありません.オースティンからのフライトは着陸したのにゲートが空くのを待っているようです.これでは14時5分の出発は無理だと思っていると,案の定14時30分,さらに14時45分と延びていきます.

またシャーロットの乗継が怪しくなってきました.そこでさらに1本後に「プロテクト」,つまり今の便に席を維持したまま次の便にも席を確保してもらいました.

ようやくオースティン便の搭乗が始まってやれやれと思っていたら,シャーロット便のゲートが変更されたというメッセージが来たのでぞろぞろ移動します.ところが新しいゲートに着いたら「ここはラスベガス便」とアナウンス中で,一緒に移動してきた他の客とともに???です.その後「これから空の機体が入って来るので,クルーが到着して準備が出来次第出発」とこれだけは予想通りの内容.しばらくするとパイロットとFAがやってきて機内に入って行きましたが,アナウンスによると彼らもラスベガスへ行くつもりだそうで,人間はラスベガス,システムはシャーロットだと思っている状態です.2フライト分の乗客で混雑するゲートで待つしかありません.

地上スタッフがあちこちに電話をかけ,結局シャーロットの勝ちで決着,一度乗り込んだクルーが出てきました.しかしラスベガス便の新しいゲートはまだ不明で,「このクルーが歩き始めたら付いて行ってね」と冗談とも本気ともつかないアナウンスが流れます.

まもなく「シャーロットへ行く」というパイロットとFA3人ぐらいがやってきて,いよいよ出発かという期待が高まりましたが,「FAがもう1人必要」とのアナウンスにゲートで大きなため息が漏れました.この時点での出発予定は16時ですが,これを過ぎると三度 (みたび) シャーロット乗継に黄信号が点灯します.15時半を過ぎたところでアメリカンに電話をかけ,もう絶対に無理になったフライトを削除してプロテクトされていたフライトを確定させ,さらにその次のフライトにプロテクトしてもらいます.これがこの日の最終便でもう後がありません.

この電話中に最後のFAが到着し,昨日よりさらに大きな拍手と歓声の中を機内へ.数分後に搭乗が始まりました.

16時ちょっと過ぎには搭乗が終わりましたが,なかなかドアを閉めません.何だか昨夜と同じような状況だな・・・と思っていると,機長が「水のタンクが漏れていて修理中」とアナウンス.昨夜に続き機材故障が状況を悪化させています.キャンセルが相次いでいるはずなのにオースティンから空で飛ばすのは何か変だと思ったら,オースティンでは修理できないので乗客なしでハブまで飛ばし,次のフライトまでの間に修理するつもりだったのでしょう.

まだ夕方なので幸い時間切れになることはなく,16時25分にやっと出発.シャーロットからの便も少し遅れる見込みで,なんとか乗継できるかもしれないタイミングです.最後に乗り込んだFAと乗客との会話によれば,このFAはデッドヘッド予定だったのを乗務に変えられたそうで,FAも大変です.

雲間からシャーロット空港が見えます.

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19時52分にシャーロット着.20時15分出発予定のゲートへ早足で到着すると,まだ搭乗も始まっていなくてがっくりしましたが,とりあえず帰れそうだと一息つきます.

やっと帰宅

ぎりぎりで確保したので,席は非常口の真ん中しか残っていませんでした.ところが後で乗り込んできた夫婦が私の両脇で,通路側に移りたいかと聞かれたので喜んでOKしました.真ん中が空くことを期待して3人席の両端を取る人がいるということは聞いたことがありますが,実際に遭遇したのは初めてです.真ん中席を取らざるを得ないことは滅多にないので当たり前ではありますが・・・

遅れたとはいえやたらとせっかちなクルーで,非常口席の確認もなくドアクローズ,すぐプッシュバック.手際がいいのは有難いですが,非常口の確認がないのはまずいのでは??

21時45分頃到着.本来は前日23時55分着予定だったので,ほぼ22時間遅れたことになります.

まとめ

頻繁に飛ぶようになって8年ほどになりますが,ここまでハリケーンや大雪,大規模なシステムダウンなど何日も足止めを食らいかねない状況に遭遇したことはありませんでした.せいぜい地元への最終便が機材故障などでキャンセルになって空港近くに泊まり,翌朝早く帰るぐらいだったので,帰宅が丸1日近く遅れたのは初めてです.後で見ると,ダラスから地元へのノンストップは22時過ぎ着の便まですべて欠航.フィラデルフィア便も大幅に遅れたので,結局このルートが一番早かったと思います.いや,思うことにします.

アメリカンの対応については,悪天候で混乱するのは仕方ないとして,2回も機材故障が混乱に拍車をかけたのはいただけません.1日目の欠航は故障さえなければ防げたし,シャーロット便も更なる遅延のためにフライトを逃した人が大勢いたはずです.ただ,大規模な悪天候があると最上級会員用の電話番号もパンクすることが多いところ,毎回1分以内でつながったのには感心しました.


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8 thoughts on “香港旅行 (10) 嵐のダラスに足止め・22時間遅れで帰宅

  • NWエリア

    Takさん、おつかれさまです。世界旅行のもっとも最終ルートの部分で本当によかったですね。これが開始直後のケースでしたら、(繋ぎの乗り継ぎが)別アライアンスのチケットなどへの搭乗もままならなかったケースも想像できたと思います。米系航空会社の言い分もまちまちでしょうし、米国内で満足できるTrip保証はどこにもありません。当面は次の便の確保が最優先でしょうし、しばらく時間をおいてカスタマーセンターに連絡したほうが、当日もめている状態で、交渉するよりも補填をしてくれる確率も高いです。緊急時に、電話の待ち時間がほとんどなかったというのは、とてもラッキーでしたね。

    • tak Post author

      NWエリアさん

      ありがとうございます.確かに,旅行の最後だったのは不幸中の幸いでした.また電話が毎回すぐにつながったのは,まるで嵐が幻かのような錯覚を起こすほどでした (笑).
      その場ではフライト確保を最優先して,補償等は後で交渉するというのに賛成です.それについては明日の記事で・・・

  • don

    大変な経験をされましたね。天候が理由だと、冷たい対応をされるのは、やっぱり…ですね。
    私は16年ほど前、AAの大規模ストライキにあって大変な思いをした記憶があります。成田からサントドミンゴの旅行で2日遅れで着きました。NHでLAX、HPで、JFK,そして今は亡きタワーエアでSJU、そしてアメリカンイーグルでSDQと、その都度苦労しました。いかに当たりの係員にあたるか、がカギだったようです。電話はわりとスムーズにつながった記憶がありますね。

    • tak Post author

      donさん

      天候はエアラインの責任ではないので仕方ないのですが,故障が追い討ちをかけたのには参りました.天候でも補償されるEUはうらやましいですが,その分運賃が上がったりすると一概にいいとも言えませんしね.EXPでなければどうだったかわかりませんが,電話がスムースだったことだけは感心しました.
      しかしストライキは別問題で,係員の優劣に関わらずエアラインの責任で代替ルートを確保すべきですね.最近はAFやLHあたりが要注意のようですが,EUなので事後の補償だけは手厚そうです (苦笑).

  • kokomo

    Takさん、初めまして。いつも楽しく拝見しております。数年前アトランタの空港で同じような目にあいました。大雪のため3000便が欠航。やはりゲートチェンジ、ゲート前の行先表示が待っている間めくるめく変わってゆき、搭乗しても下される、クルーが来ない、機長が奪われ(笑)、そしてあちらこちらのゲートから出発相整い巻き起こる拍手。。。 ホテルはどこも満室、レンタカー会社も全て貸出不可、そこここの床で寝る人が転がっているカオス状態でした。 デルタでしたが、なんちゃってゴールドでCクラスのチケットを持っていたので少しは優遇されたような。。。空港で夜を明かした後、とりあえずDCまで飛んでその先はレンタカーで最終目的地まで行きました。 レンタカー代は払ってもらいました(交渉に2~3か月かかりましたが)天候理由なのでやむを得ないとはいえ、1)荷物積み忘れで2日後空港まで取りに行ったこと 2)ホテルも取れないありさまなのに3か所あるデルタラウンジが営業時間前にクローズしたこと 3)最初はNYC行に振り替えられ搭乗券があるにもかかわらず、勝手に私の予約を落として(おそらく他上級会員のために)200ドルのボランティアを募集したこと などなど、ほかにもいろいろありました。 今となっては良い経験と思えますが、もう2度とごめんです!!!

    • tak Post author

      kokomoさん

      初めまして.体験談ありがとうございます.
      アトランタは雪に弱いですからね~ (寒いところの住人のひがみです).私も地元から車で2~3時間の空港へ飛ぶことを考えましたが,どっちにしても地方空港なので状況は同じだろうと地元便にとどまりました.しかし,天候理由でもレンタカー代を払ってくれたとはよかったですね.私は昨日の記事の通りあっさりとクレカに助けを求めましたが・・・
      ブログも今度ゆっくり拝見させていただきます.

  • 大阪球場

    takさん、

    いやー、ほんと大変でしたね。読むだけでこっちまで疲れてしまいましたよ。緊迫感がひしひしと伝わりました。
    その中でも、ご自分でホテルを探されて、さっさとチェックイン、休息にあてられたのは賢明だったと思います。

    僕も幸いこのようなひどい経験はしたことがありませんが、そうなったら同じように賢明に立ち回りたいと思います。
    参考になりました。

    • tak Post author

      大阪球場さん

      すみません,長すぎましたね (笑).結果的に賢明だったかどうかわかりませんが,エアラインの言いなりになっているだけではだめなのは確かだと思います.