機内映画の検閲 2


もう1年以上前の話ですが,ユナイテッド航空機の天井テレビで過激な暴力シーンのある映画が放映されたのに対し,小さな子供を連れて搭乗していた親が抗議するという事例がありました.これだけならその場で収まっていたかもしれませんが,なぜか機長が安全を懸念して近くの空港へダイバートしたためにニュースになりました.問題の映画はPG-13指定,つまり「13歳未満の鑑賞には保護者の強い同意が必要」ということですから,ずっと顔を伏せているわけにもいかない機内で一斉放映するのは軽率と言われても仕方がないかもしれません.なお,親はダイバート先でFBIから5分ほど質問を受けただけであっさり放免されたそうで,ダイバートは機長の過剰反応でしょう.
本題は機内エンターテイメント (IFE),特に映画です.先のユナイテッド機のように一斉放映の場合はもちろん,個人用モニタでも画像は隣の人に見えたりするので,ポルノはもちろん,飛行機事故を扱ったような映画もまず機内では見られないと思います.比較的最近の例だと”Flight“がIFEの中に入っているのを見たことがありません.
さらに,機内で放映される映画もオリジナル版から何らかの改変が加えられるのが普通で,たいてい開始前にそのような断り書きがあります.縦横比をIFE画面に合わせるほか,ストーリーに影響を与えない程度に暴力的・性的なシーンをカットしたりするのだと思いますが,何度も観た映画でないとどんな改変がされているのかはわからないと思います.
しかし,先日ルフトハンザの機内で観た2本の映画では,航空会社による「検閲」の一端が見えました.一つはご存知 “Up in the Air” (邦題「マイレージ・マイ・ライフ」) で,アメリカンのロゴを全部消してあるのは当然としても (動画でやるのはなかなか大変そうですが),下品な言葉のところをジョージ・クルーニーではない声で吹き替えているのもはっきりわかりました.カンタスの機内で見たときは違和感がなかったので,航空会社によって基準が違うようです.しかし s**t は全部言い換えてあるのに f**k がそのままになっているのは片手落ちのような気も.
もう一つは「青天の霹靂」という邦画です.舞台が40年前の浅草なので鯨肉を食べるシーンがあるのですが,英語の字幕は単に seafood になっていました.もともと「鯨 (ゲイ) を食べて芸を磨く」という英語では伝わらないしゃれなので簡単な言葉に言い換えただけかもしれませんが,捕鯨を巡る状況を考慮して意図的に誤訳したと深読みできなくもありません.


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2 thoughts on “機内映画の検閲

  • makomako

    私も最近LHに乗り、その両方を見ました。
    マイレージマイライフは始めて見る映画で、とても面白く爆笑していました。
    MDがしょっちゅう写っていましたが、垂直尾翼が鮮明に写っていないのは配慮なんですね。
    アドミラルクラブ!というナレーションはギリギリセーフなんでしょうね。
    日本語吹き替え版を見ましたが、ジョージ クルーニーが大西洋路線で乗客とコトに及んだ部分や、相方に女優がドメ線で及んだ部分はカットなくナレーションが入りました。

  • tak-airtravel

    makomakoさん
    マイレージマイライフは身に覚えのある場面も多く (コトに及ぶ部分を除く・・・(笑)),面白いですね.AAの機体は赤い帯まで緑色に変更されていて,かなり徹底しているなあと感心しました.日本語吹き替えは劇場版とは違うんでしょうかね.