コロナ禍で海外旅行が難しい中,ANAが今日2回目となるA380を使った「遊覧飛行」を実施しました.カンタスが10月に予定している同様のフライトもチケット (航空券と呼べるのでしょうかね?) が10分で売り切れてしまったそうですし,シンガポール航空もシンガポール発着のフライトを計画しています.今後,エアラインの窮余の一策として流行るかもしれません.
いずれもどうせ乗れないのであまり気にしていなかったのですが,よくよく考えると「どこへも行かないフライト」はなかなか哲学的な問題を提起しています.つまり,なぜ飛行機に乗るのかということです.
われわれのようなマニアは別にして,ほとんどの人にとっては移動が目的です.それなら「どこへも行かないフライト」に乗る意味は全くないはずですが,それでもANAの遊覧飛行に応募が殺到したのは,どこにも行けないからせめてその雰囲気だけでも味わいたい,という目的なのでしょう.
空から見える景色も楽しい,という人もいるかもしれませんが,天候に左右されますし,そもそもジェット機が飛ぶような高度からではよほど大きなランドマークでないとよく見えません.いずれにしても,目的地に行くついでに見られるから楽しいのであって,これ自体が目的になるとはあまり考えられません.ただ,遊覧飛行であれば天候によって景色がよく見えるルートに変えてくれる可能性はあります.
ではマニアはどうでしょうか.修行僧ならもちろんステータスが目的です.ANAの場合はフライト時間相応の380マイル (A380だから?) が付くようですが,プレミアムポイントは加算されませんし,抽選に当たらないと乗れないようなフライトでは修行になりません (カンタスは.ほとんど定期便のように飛ぶようになればともかく,修行目的で乗る人はいないと断言できます.
飛行機そのものが好きな人なら,どこにも行かないフライトでも苦にならないでしょう.特にA380のように日本ではなかなか乗れない機材であればマロリーのごとく「そこにA380があるから」という人がいても不思議ではありません (?).
私のように特典航空券で上級クラスに乗ることを目的とする場合はもう少し複雑です.弾丸旅行ばかりで目的地に興味がないように見えるかもしれませんが,実際には休みや空席の都合でやむを得ず弾丸にしているのであって,長く滞在できるならそれに越したことはないのです (たぶん).一方で快適なシートやサービスを体験するというのも重要な目的であり,毎回そのせめぎ合いであれこれ悩んでいます (いました).目的地とフライトの重要度の比率は人によるでしょうが,私の場合で3:7ぐらいと目的地は若干低めになります (やっぱり).
そうであれば,どこへも行かないフライトであっても
- フライト時間がそこそこ長く,長距離国際線並のサービスがある
- 特典で取れる
の2条件が揃えば,検討に値するかもしれません.もっとも,その前に出発空港へ行くというハードルがあります.SFO発着でユナイテッドがやっても・・・たぶん乗らないでしょうねえ.同じどこへも行かないフライトでも無重力体験とかならちょっと興味ありますけど.
Tak san
おそらく乗らないでしょうね。(笑)マスク着用で、どこにも行かない遊覧飛行、確かに湖の上空周辺や、NYの摩天楼周辺を遊覧飛行するのとは違って、なんでこんなものが人気があるのでしょうかね。考えられる理由としては、今までなかったから、気分転換になるから、まだ各国が入国制限(禁止、自主隔離)をしていて当分海外旅行に行けないから、国際線仕様の飛行機に乗れないから、(SNSで)自慢できるから、出会いがあるかもしれないから?、半日で帰ってこれるから、A380だから、お金をユニークに使える機会だから、時間とお金があるから、飛行機が大好きだから、旅が好きだから、期間限定の商品であることは間違いないから、旅行記事を担当しているから、航空会社ビジネスを応援したいから、家族からどこへでも行ってきたらと言われたから、といった面々がいらっしゃるかと思います。それなりの需要もあるので売り切れるのでしょう。(笑)抽選で取れたとしても窓側の席が取れなければ景色も楽しめませんが、座席選定リスエストなどは出来るのでしょうかね?
+追加条件として、特典利用不可ならば、ぐるっとまわった総合距離のマイルが実距離で加算されれば、商品としての魅力がより向上するでしょうし、ANAの場合、成田発ならば、空港免税店で買い物ができるならば、その消費需要を取り込めるプラス要素もあるかもしれません。またコロナ対策として真ん中の座席はブロックするなどの対策(アラスカ、デルタなど多くが実施中)の検討なども必要でしょう。アメリカ発で類似の遊覧飛行セールがあったとしてもおそらく買わないと思いますが、、。
無重力体験、ドラム缶のような機内、結構面白そうですが、マスク着用必要ならば、しんどくて息切れしそうな、、。。
NWエリアさん
やはり乗りませんか (笑).遊覧飛行なら,もっと短時間でもよいのでときどき観光地で見かける小型機の方がいいですよね.SNSは思いつきませんでしたが,やはり実際の海外旅行には行けないからという消極的な理由の人が多いような気がします.
イミグレを通るわけではないので,さすがに免税店は難しいでしょうね.実現すれば確かに魅力を感じる人は増えそうですが・・・
> 座席選定リスエストなどは出来るのでしょうかね?
ANAの場合は料金が窓側・通路で別になっており (当然窓側の方が高額),座席は当日指定だったと思います.カンタスは座席指定ができたようです.機内のショーもあり,窓側でなくてもそれなりに楽しめるようになっているのかもしれません.
A380がNo1チョイスの私でも乗らないと思います。しかし、A380を廃止する航空会社を減らすためにもなにかサポートはしたいと思います。
”どこにも行かないフライト”は乗りませんが、”どこにも行かない大型客船”は乗ったことはあります。
シンガポールを出港しマラッカ海峡を通りプーケット沖でUターンするクルーズでした(3泊位)。本当はどこかに寄港したかったのですが、ギリギリに予約をしたためクルーズが限られてしまいました。
寄港できるクルーズも宿泊は船内ですし、24時間いつでも食事可能でエンターテインメントも全てインクルーシブでとても楽しめました。
今はクルーズ船は避けたいですが。
グローバル・フライヤーさん
折しもLHもA380とA340を運航から外す (そのまま退役?) という報道がありました.
https://www.aviationwire.jp/archives/211208
クルーズはもとの港へ帰ってくることが多いですが,普通は途中で降りられますね.しかも船内は横になったり,歩き回ったり,ショーを観たりできるので,どこにも寄らなくてもリラックスはできそうです.
クルーズもいつになったら安心して参加できるようになるのでしょうね・・・