2017年 航空業界10大ニュース 6


今年は幸い大事故もなく,航空業界としては比較的平穏な年だったような気がします.そのため,5位ぐらいから下は順位づけに苦労しました.

1. ユナイテッド「引きずり」事件

出発直前になってオーバーブッキング状態になり搭乗拒否に遭った乗客が降りるのを拒否したため空港の警備員が出動する事態になり,その警備員が乗客に暴力を振るって引きずり降ろしたという事件です.ユナイテッドは乗客と和解しましたが,その後の調査を経て警備員が解雇されるなど,どちらかといえば空港側の対応に問題があったという結論になっています.いずれにしても,米系各社が搭乗拒否への対応を考え直すきっかけになり,デルタはVDBの補償額の上限を9950ドルまで引き上げました.

2. 中東〜アメリカ便で一時大型電子機器機内持ち込み不可に

テロ対策として,中東など10空港からアメリカへ向かうフライトにラップトップPCなど大型電子機器を機内持ち込みできないという措置が約4ヶ月間続きました.該当路線を運航するエアラインはPCだけゲートで預かるなど対応に追われましたが,恐れられたほどの混乱はなかったようです.

3. アリタリアエアベルリンが経営破綻

中小エアラインの経営破綻は結構多いのですが,メジャーアライアンスに加盟しているエアラインの破綻,しかもエアベルリンのように救済がうまくいかず完全に運航を停止する結果になるのは珍しいでしょう.アメリカより少し広いぐらいのEU圏内に大手からULCCまでアメリカよりはるかにたくさんのエアラインがあるわけですが,今後ヨーロッパでも寡占化が進みそうです.

4. イスラム系6ヶ国がカタールと断交

イスラム圏でも進歩的なカタールを快く思わない6ヶ国がカタールと断交し,互いの空港を行き来するフライトがすべて運休となっています.また,周辺を断交した国々に囲まれているカタールに至る航空路も1本に制限され,運航されるフライトも一部ルート変更を余儀なくされています.わりとメジャーなルートだったアブダビ・ドバイ〜ドーハも運休中で,ヨルダン・オマーンなど断交に参加していない第三国を経由しなければなりません.

5. 米系エアラインからジャンボが消える

11月にユナイテッドが,12月にデルタがそれぞれラストフライトを行い,米系エアラインによるジャンボの定期便はなくなりました.ユナイテッドの最終便は747-100が初めて就航したときのルートだったサンフランシスコ〜ホノルル.デルタの方は,アトランタ空港の停電のためソウルからの折り返し便ともども丸1日遅れるという波乱含みのラストフライトでした.旅客型の747-8iを発注している米系エアラインはなく,今後アメリカでジャンボを見るとすれば海外エアラインか大統領専用機ということになります.

6. デルタと大韓航空がジョイントベンチャー・米系の日本離れ加速

今までやってこなかったのが不思議なぐらいの,デルタと大韓航空のジョイントベンチャーがようやく動き出しました.日本に提携先のないデルタは,これまでノースウエストから引き継いだ日本・アジア路線を基盤に自社便でアジアをカバーしようとしてきましたが,成田・羽田の発着枠が思うように取れなかったために断念せざるを得なくなったようです.

ただ,発着枠不足の影響を受けているのはアメリカン・ユナイテッドも同じで,以遠権による日本発のアジア便を減らす一方,787などを使ったアメリカ〜アジア各地の直行便を増やす傾向は続いています.

7. アラスカ航空 提携先「2勝4敗」

アラスカ航空は米系唯一マイル基準を維持しているプログラムですが,最近提携先を減らしつつあるのが気になります.5月にデルタとの提携を解消したのに続き,アエロメヒコとの提携も今年いっぱいで終了,来年1月からはアメリカンとの提携を縮小 (国内線はアラスカ航空便名フライトのみ加算),4月でエールフランスとの提携も解消.逆にシンガポール航空・コンドル航空の2社が加わったものの,シンガポール航空はA380・77Wのビジネスクラス以上を他社に特典解放しませんし,コンドル航空も所詮はレジャー専門エアラインと,ちょっと弱い感じです.

まあ,個人的にはJALとキャセイ,それにビジネスクラスが安いフィンエアーが残っていてくれればそんなに問題はないのですが.

8. JALが旅客システムをアマデウスに変更

ようやく世界標準?になりました.もっとも,私はその後JALから発券する機会がないので効果を実感できていないのですが,いかがでしょうか?

9. KrisFlyer 改悪・改善

マイレージプログラム関係では,米系プログラムの改悪が一段落した今年一番大きな変化があったのはシンガポール航空かもしれません.3月に自社特典の特典チャートを改悪し,オンライン予約の15%割引を廃止した上に,11月にはスターアライアンス特典のチャートも改悪しました.もっとも,サーチャージを徴収しなくなった・オンラインでスターアライアンス特典が予約できるようになったという改善点もあります.

10. アメリカからのキューバ渡航再び困難に

朝令暮改というか,オバマ前大統領が実現したキューバへの渡航条件緩和をトランプ大統領がひっくり返し,アメリカからキューバへの渡航が再び非常に難しくなりました.いい迷惑なのはこの機にキューバ行きを計画していた旅行客と,規制緩和でキューバへの定期便を続々開設した米系エアラインです.すでに供給過剰気味だったところへ再規制となると,ほとんどの路線が運休になるのは避けられないでしょう.

それでは,皆様よいお年を!


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6 thoughts on “2017年 航空業界10大ニュース

  • NW

    Tak san 

    謹賀新年 

    個人的には、1,6,7,10関連で影響を受けました。1はUAのおかげで他社便(DL)がオーバーブックの為、国内で大した飛行距離でもないのに国際線にも使用できるバウチャー往復券を頂き、来年の日本行きにて利用予定です。6たまに日本へKE片道利用はするのですが、あまりこのパートナーシップは(北)リスクがあり積極的には利用したくないですね。7は、ASが米国3社の強豪相手になってきたということでしょうね、ASの勝負はこれからでしょうね。さらなる勝率を増やしてほしいですが、まだ先の判定ですね。
    AA/DLなど相互パートナーとしての恩恵がどんどん外されてしまいました。KLやAFのフライトもASの特典でいつか利用したいなと思っていたのですが、残念ながら、出来なくなってしまいます。コンドル空港は初耳ですが、欧州LCC系でしょうか?10のキューバは、往復路線とも大幅変更、往路は路線サービス廃止(AS)、帰路は近日のJFKルート廃止!(DL)のためATLへ変更など影響を受けています、、。

    • tak Post author

      NWエリアさん

      今年もよろしくお願いいたします!
      オーバーブッキングの補償が定額でなく往復のバウチャーというのは珍しいですね.確かに9950ドルよりは安くつきそうですが (笑).
      ASが失った提携先のうちエールフランスとアエロメヒコもDLの影響なので,おっしゃる通り4敗はすべて米系相手とも言えますね.コンドルはドイツベースのレジャー路線専門エアライン (LCCと呼ぶには歴史が長い) です.
      キューバは大統領が変わらない限り渡航ができなさそうなので,今回無事に行けるといいですね!

      • NW

        勝手な憶測ですが、 敵の敵は、味方ということで、案外 米系でこれまで パートナー関係のなかったUAあたりとの一部提携などが浮上してくるかもしれません。ジャイアン組もいやがるでしょうし、、。 :)

        • tak Post author

          NWエリアさん

          UAとの提携が実現したら面白いですね! SQとの提携が実現したのでスタアラもありということはわかりましたが,UAはどうでしょうね.

  • 白熊

    Takさん、

    8.のJALの予約システムですが、変更直後の2週間ぐらいしか予約が無かったのですが、
    良いと思う点は
    1)座席指定できる範囲が広がった(ブロック部分が減った)
    2)幼児連れの旅客の席が分かるようになった
    悪い点は、
    1)特典の空席確認カレンダーの使い勝手が悪化し、空席が分かりづらい。
    2)特典の予約開始時の設定数が微妙に減っている気がする

    5月の日本出張の予約を2月に入れると思うので、この時点で使い勝手を再確認したいと思います。

    • tak Post author

      白熊さん

      情報ありがとうございます.私はJLから発券をすることはほとんどないと思いますが,悪い点が私も使いそうな特典関係ばかりなのは困りますね・・・