規模は違ったものの,最近デルタとANAで相次いでシステムのトラブルが発生しました.デルタは数時間に渡るコンピュータシステム停止 (8月8日),ANAは手荷物処理システム故障 (8月11日) です.
デルタの方は混乱が3日以上続きました.私は幸い巻き込まれなかったので現場の状況はわかりませんが,デルタは信用維持のためのPR活動にも必死でした.まずトラブル発生当日にCEOがビデオで謝罪メッセージを公開.翌火曜日には影響を受けた乗客に200ドルのバウチャーを発行するという対応を発表しました.さらに,事態が収束に向かいつつあった水曜日には「40人以上にプライベートジェットを提供した」というビデオ付きのプレスリリースを公開しています.しかし,乗客への対応を見ると変更手数料免除の期間を1日ずつ小出しに延長したり,振替先の日程が非常に限定されていたりと必ずしもユーザーフレンドリーとは言えなかったようです.また,アメリカンとの振替契約を中止した影響も多少はあったと思われます.個人的には,8月と第3四半期の定時率・フライト完了率を見るのが楽しみです (意地悪?).
原因は,サーバーの一部がバックアップ電源に正しく接続されていなかったためではないかとされていますが,大手エアラインとしては相当にお粗末と言われても仕方ありません.しかし,航空会社のコンピュータシステムの故障はアメリカだけでも年に数回発生していて,そのたびに大勢の乗客が影響を受けています.直近では7月20日にサウスウェスト航空で発生したばかりで,8200万ドルもの損害が出ました.金融やライフライン系の企業と比べ,エアラインのコンピュータシステムに対する真剣度はやや劣るようです.
ANAの方では羽田発の22フライトに荷物が積み込めなかったという影響がありました.デルタに比べればはるかに小さいトラブルですが,人と荷物が同じフライトで着かないことを前提として荷物を預ける!?アメリカと違い,日本ではわりと信用して預けますし,預ける人の割合も高いので,大騒ぎになったのも無理はありません.フライトを遅らせると,そのフライトだけでなく同じ機材を使うフライト全てが影響を受けるということで,荷物なしで出発させたANAの判断もやむを得ないと思います.ただ,荷物が積み込まれていないことを出発前にアナウンスしなかったことが一部で批判されているようです.これも,荷物が積まれていないと知ったからといって後続便に移るのは難しいし (お盆でたぶん満席),まさかそのまま出発か荷物を待つかの多数決を取るわけにもいかないしで,確かに知らせる意味はあまりなかったと思います.
Takさん、
昨日(8月21日)義母が米国発成田行きのフライトに乗ったのですが、22日の関東地方の台風に対する各社の対応・判断が分かれて興味深かったです。
JLは成田に18時頃に到着になるように米国出発を遅延させ、ほぼ思惑通り到着
NHはスケジュール通り出発するも、千歳、関空、名古屋にダイバートする便が多くその後成田に飛行。
AA、UA、DLはほぼキャンセルでした。
白熊さん
情報ありがとうございます.確かに対応の違い興味深いですね.
ダイバートしたら機内で監禁でしょうから,ホテルなりラウンジなりでゆっくりできるように天候回復まで出発を遅らせるのは良い方法ですね.ANAは万一予報が外れた場合のことを考えたのかもしれませんが (笑).米系がキャンセルしたのは,やはりホームから遠いところに機体が足止めされるのを防ぎたかったのでしょう.
実は私も先週末DFWの雷雨に巻き込まれ,余計に1泊させられました.
Takさん、
DFWでの余計な1泊はお疲れさまでした。
おっしゃる通り、「予報は予報なので」と飛ばしてから状況に即して対応を考えようというANAの考え方だったと思いますし、昔からANAの方が悪天候でも飛ばす傾向があるようです。離着陸時の最大風速などの社内の規定が違うというような記事を読んだような記憶があります。
白熊さん
ありがとうございます.天候に機材故障が重なって余計に疲れました (苦笑).
確かに,米系でもエアラインによって飛んだり飛ばなかったりしますね.いずれにしても機体メーカーが出している数値よりは小さく設定してあるので安全なのでしょうが,コストや機材運用に関する考え方の違いもあるんでしょうね.