今回はアメリカ航空業界のニュース.
ボンバルディアCシリーズの制裁回避
カナダの小型旅客機製造メーカー・ボンバルディアがカナダ政府からの支援を受けて不当廉売をしているとボーイング社が訴えていた問題で,アメリカの国際貿易委員会が全会一致で「アメリカの産業には影響がなく,安値で販売しても構わない」という結論を出しました.これでデルタも関税なしで購入できることになります.
不当に安いこと自体は否定していませんが,ボーイングが同クラスの製品を出していない以上,文句を言う権利はない,というわけです.ステーキレストランが,隣の寿司屋に対してその寿司は安過ぎると文句を付けているようなものでしょう.ちょっと違うか.
ペインフィールドに定期便開設へ
ボーイングといえばシアトルの北に工場を持っており,ミュージアムが併設されているほかツアーで工場見学も可能です.この工場がある空港がペインフィールドで,これまでは完成した機体のテストフライトや部品運搬のためのフライトしか発着していませんでした.しかし,シアトル・タコマ空港が発着能力の限界にきていること,シアトル市内からのフリーウェイの渋滞が激しいことなどからペインフィールドに定期便を飛ばすという話が10年以上前から出ていたそうで,それがこの秋ようやく実現することになりました.
現時点で,西海岸の都市を中心にアラスカ航空が1日13便程度,ユナイテッドとサウスウエストが1日5〜6便を運航する計画です.上の写真のような変な飛行機を見るチャンスかも!?
動物の機内持込が難しく
アメリカでは,犬を紐につないだ状態で,つまり街中を散歩しているのと同じ状態で飛行機に乗せている人をわりと頻繁に見かけます.正式なルールとしては,座席下に収納できるサイズのカゴに入る小型犬は機内持込できますが,機内ではカゴの外に出してはいけません.例外は盲導犬など訓練されたサポート犬のみです.
問題はアメリカではサポートの範囲が非常に広く解釈されていることで,身体的だけでなく精神的な疾患等に対する「サポート」であってもよいことになっています.したがって精神科医の「この動物は精神安定に必要」という診断書があれば航空会社はいやとは言えないのです.その結果,犬だけでなく七面鳥などが堂々と飛行機に乗ったりすることになります.
ところが最近,精神安定用の動物が周辺の乗客の精神を乱す事件が増え,良きにつけ悪しきにつけ最先端を行くデルタがついに対策に乗り出しました.3月1日から.所定の申し込み書類と予防接種が済んでいるという獣医発行の証明書をフライト48時間前までに提出しなければならなくなります.先日クジャクの搭乗を断ったばかりのユナイテッドも早速追従し,今後は機内を闊歩する動物を見かける機会は減りそうです.