ユナイテッド機での事件を受け,アメリカン・デルタ・ユナイテッドが当面の搭乗拒否対策を発表しました.一部は先日の記事でも触れましたが,ここでまとめておきます.
アメリカン
運送契約を改定し,「別の乗客に席を与えるために一旦機内に入らせた乗客を降ろすことはない」としました.
American will not involuntarily remove a revenue passenger who has already boarded in order to give a seat to another passenger.
出発直前に高い運賃でチケットを購入した客や,突然空港にやってきたVIPに席を譲らされる心配がないのはいいのですが,これでも問題になりそうなケースがないとも言えません.例えば,乗継に遅れるだろうと思って搭乗締切より少し早く空席待ち客に席を回したところ間に合ってしまったという場合,すでに乗っている空席待ち客が優先となり,せっかく間に合ったフライトに乗れません.また,”another passenger” がデッドヘッドのクルーを含むのかは不明ですし,重量バランスなどを理由とした搭乗拒否はまだあり得ます.
デルタ
ボランティアへの補償の上限を引き上げ,一般ゲート係員は2000ドルまで,スーパーバイザは9950ドル (!!) まで自分の裁量で出すことができるようにしました.聞いたときはPR用かと思いましたが,プレスリリースなどはなく内規の変更だけで,リークされたのは想定外だったようです.
これで意思に反した搭乗拒否 (Involutary Denied Boarding) は事実上なくなると思いますが,バウチャーとはいえ法定額よりも大幅に高額な補償を出し続けることができるのか,財政面や座席管理への長期的な影響がありそうです.
ユナイテッド
すでに機内に入った乗客を搭乗拒否するために,安全に影響がない限りは警察の介入を要請しない,とCEOが言明しました.また,満席のフライトにデッドヘッドのクルーを乗せられるのは,出発1時間前までに限るとしました.これにより,少なくとも搭乗済みの乗客をクルーのために降ろす必要はなくなります.また,30日までに追加の対策を発表することになっています.
大手では,一番搭乗拒否が多いサウスウエストだけ沈黙を守っています.
いずれにしても、しばらくは搭乗拒否をやりづらくなるのでしょうかね。まあ普通はゲートでやるもので、着席してから下ろすというのはかなりのイレギュラーかとは思いますが。
AAの乗り継ぎ絡みは問題になるかもしれませんね。特に日本発など、国際線で到着して乗り継ぐ場合などは。クルーの場合、乗客じゃないという言い訳もできそうですし、あいまいさは残りますね。
デルタの金額の話はさすがに無理があるような気はします。
全体としては、AAが一番無難に対応した印象ですね。
donさん
おっしゃる通り搭乗させてから降ろすというのはかなり例外的な状況だと思いますので、想定外のところで影響が出てこないかと心配になります。
DLの最高額はすごいですよね。実際にもらったという人が出たらニュースになりそうです。UAが月末までに対策をまとめるそうなので、それも注目していきたいと思います。
takさん
そうですね、サウスウエストは運行面や顧客満足度ではいろいろな面で優秀と言うイメージがありましたが、搭乗拒否は大手で一番多いですね。
サウスウエストにとっては今まで注目されなかった悪い数字が、今回の事件で注目され、悪い数字が明るみになって困っていると言うところでしょうか。同社がボランティアを募集している場面には出くわしたことがないのですが。
(本題とはそれますが)サウスウエストに乗ることはほとんどありませんが、同社のおかげで競合路線の航空運賃が安く押さえられており、とても感謝しています。
大阪球場さん
サウスウエストはスタッフの愛想はいいようですし、搭乗方式も合理的といえば合理的ですが、それ以外は今回注目されたように搭乗拒否率が高い、欠航しても他社振替ができないなどの問題があるので、私は1回しか乗ったことがありません。しかし、今度の出張で時間の制約から唯一ノンストップがあるサウスウエストに乗らざるを得ないかもしれず、困ったなあと思っているところです。
運賃に関しては、他社との運賃比較が簡単にはできないようにしているのが賢いというかずるいですね。
サウスウェストは価格につられて訪米時に何度も利用しました。
その経験から同社の肩を持つとすれば、他社に比べて「ドアクローズに間に合わない乗客」がとにかく多いです。
過去わずか20回強の搭乗ですが、大体1フライトで1名(組)は当たり前、セキュリティチェックが混雑すると複数組発生している印象です。搭乗順確保のため24時間前からオンラインチェックインし、最近は皆さん早めに空港へ到着しているはずなんですが・・・
その辺を真面目に「搭乗拒否」としてカウントしているかもしれません。ゲートのスタッフは手慣れたもので、日本人でもわかるような放送禁止用語連発で怒り狂っている乗客をうまくさばいていきます。
一方でご指摘の通りボランティア募集に遭遇したことは記憶にないですね。私が節約を兼ねて早朝便ばかり利用しているからかもしれませんが。失礼しました。
コメント連投すみません。説明がおかしくなっていました。
「ドアクローズに間に合わない乗客」は私が登場するフライトではなく、その前に出発するその付近のフライトで発生しています。
搭乗予定のフライトでそれを見てたら私も「間に合わない乗客」となるところです。失礼しました。
KJさん
いえいえ、全く問題ありませんよ。それにしても20回強は私からすると大ベテランです (笑)。
サウスウエストに乗り遅れが多い理由はよくわかりませんが、レジャー路線の比率が高いので乗り慣れていない人が多いのかもしれません。いずれにしても、DOTの統計はオーバーブッキングによる搭乗拒否数ということになっていて、乗り遅れはカウントされていないと思います。まずボランティアを募集しないと法律違反になるので募ってはいるはずですが、得意のトークで個別交渉してうまく振り替えさせてしまうのでしょうか!?
DOTの統計基準を理解しておらずすみませんでした。
サウスウェストはホッピングフライトのため、夕方以降は遅れることが日常茶飯事なんですが、満席のフライトでもオーバーブッキングの募集はホント見たことがないですね。ひょっとするとチェックインカウンターで交渉しているのかもしれませんね。オンラインチェックインが当たり前の今、どれだけうまくいくかわかりませんが・・・。
KJさん
DLではオンラインチェックインのときにいくら払えばフライトを変更するかと聞かれることがありますね。AAでも空港のキオスクで聞かれたことがあります。両社とも結局ゲートでのアナウンスもしているので、これだけでボランティアを募集したことになるのかわからないのですが。
ここ数年、北米の地方都市への出張でUA便をよく利用していました(ステイタスは1K)。ただし、昨年よりANAに乗換えたので、今年は平会員です。UAの時には、チェックインの端末機で、予約とは違う便に乗り換えてくれない?」みたいな案内がでることが、時々ありました。いつも、No」と答えています。それでも、2回ほど違う便に振り替えたことがあります。1回目は、成田のUAラウンジで出発まで待っていると、係員が直撃で振替を提案してきました。この時は、「ビジネスアップグレードで、最終目的地には30分程度遅くなる。」とのことで快諾です。もう1件は、帰国時にゲート前ロビーで待っていると、係員が名指しでやってきました。最終目的地への到着時間は同じで、シカゴ>成田経由への振り替えると500ドルのクーポンプレゼントでした。結局、この500ドルも使うことなく、期限切れとなってしまいました。
よっちゃんさん
いろいろ体験談ありがとうございます。UAでもオンラインで案内があるのですね。私がUAをよく利用していたのはだいぶ昔なので覚えていないか、その頃はシステムが対応していなかったのかもしれません。
私も日本に住んでいた頃、アメリカ出張のときにUAから振替を頼まれたのを思い出しました。ORD経由をSFO?経由に変え、目的地には少し遅く到着したのですが、補償は成田の食事券だけだったような (怒)・・・