米航空行政の転換 4


最近の (米系) マイレージプログラム改悪傾向の一因として,エアラインが合併を繰り返して寡占化が進んでいることが挙げられると思います.運賃やサービスに関してはLCCとの競争もあり,あまり極端なことはできませんが,LCCのマイレージプログラムは無いに等しいので,コスト削減のターゲットにしやすいのでしょう.マイレージ・ステータスの金額基準導入,ステータス特典の削減,特典チャートとルールの改悪など,いずれも大手のどこか (ほとんどデルタ) が先導し,他の2社が追従するという形で進んできました.

さらに寡占化のもとを辿ると,規制緩和以降の過当競争,9/11以降の需要減・原油高,2008年頃の不況からエアラインを救うため,アメリカ政府がエアラインの合併を容認してきたことがあります.規制緩和後のように新興エアラインが何十社も乱立したり,9/11後のように大手エアラインまで次々破綻したりする状況は確かに普通ではありませんが,広いアメリカで大手が3社に集約され,LCCでさえ合併で数を減らしているのもいくらなんでも行き過ぎでしょう.

振子が逆方向に振れすぎたとようやく理解したのか,最近アメリカ政府は競争が減ることに対して少し厳しい姿勢を取るようになってきました.

まず,アラスカ航空がヴァージンアメリカを買収しようとしたのに司法省が待ったをかけ,当初の手続き完了予定日を大幅に過ぎた12月6日にようやく認可が下り,昨日ようやく完了しました.認可の条件はアメリカンと重複する路線のコードシェアをやめるというもので,競争維持の観点から当然と言えます.ただし過去の合併でよく条件になったゲート返上はありませんでした.

もう一つは,運輸省によるアメリカンとカンタスのジョイントベンチャー阻止です.デルタとユナイテッドはそれぞれヴァージンオーストラリアとニュージーランド航空とジョイントベンチャーを組んでいるので,アメリカンとカンタスが組むのは一見自然ですが,運輸省はオーストラリア〜アメリカのシェアの半分近くをカンタスが占めているのを問題視しました.これにアメリカンが加わるとアメリカン・カンタス連合で60%を占めることになります.

しかし,残念ながらこの程度の方向転換ではマイレージプログラムの改善に至る気はしません.せめてLCCが大手並みにマイレージプログラムを充実させてくれればいいのですが,そのためにはある程度のネットワークが必要で,なかなか難しそうです.大きくなったアラスカ航空が今のプログラムを維持してくれれば,なんとか希望があるかもしれませんが・・・突然の改悪などの前科もないわけではないので,警戒しながら期待したいと思います.


Leave a comment

メールアドレスが公開されることはありません。

4 thoughts on “米航空行政の転換

  • 大阪球場

    takさん、

    ふふふ、おっしゃりたいことは行間から読めたような気がしますが、僕の勘違いかもしれません。

    ほんの数年前のように、貯めるほうはエコノミーでもどんな運賃でも、ごく一部の例外を除いて距離制で100%加算、
    使うほうもヨーロッパ経由日本行きが発券できたり、自由度が高くトンでもルートが発券できた時代のように
    少しでも戻ってくれないかなあ、
    なんて思っている人は万単位でいると思うのですが。

    昔の癖で、現在でもマイルをたくさんためるために、ついついわざわざ遠回りルートまでも検討しようとしてしまい、
    あ、そうか、もう遠回りするメリットはないんだった、
    と思い直しています。

    • tak Post author

      大阪球場さん

      行間を読んでいただくほど深い意味はないのですが・・・ (笑) 競争がなくなって黙っていても乗客が集まる今は,コストがかかるだけのFFPは改悪の一途を辿るのも不思議ではありませんね.トンでもルートは探せば今でもあると思うのですが,SNSであっという間に広まり,すぐに取り潰されてしまうところが以前と違います.
      遠回りルートは懐かしいですね (笑).ステータスにはまだ多少意味はありますが,RDMだけ考えると本当に意味がなくなってしまいました.

  • NWエリア

    Takさん

    大手エアラインのサービス低空飛行 状況は、米ビール業界構図とよく似ている様に思います。ヴァドワイザー、ミラークアーズ、ハイネケンUSAなどの銘柄(変化/進化が感じられない)3社が、躍進中のクラフトビールGR Craft Brew Alliance/North American Breweriesなどにパイを奪われているような状況と類似しています。大手エアライン3社は自社の短期的な業績、コスト削減ばかりを考えて、顧客の求めている新サービス/新商品を提供できないまま、機内食の質さえ低空しているイメージもあり(特にAさん、多分乗らないからどうでもいいけれど)、カルテルでも結んでいるかのようです。一方、サービス、顧客満足レベルや提携先を拡大・継続しながら成長しているのが、ASでしょうか。統合するバージンアメリカは、しっかりと顧客のハートを掴んでいるようです。来年のエアラインは遠回りする価値も健在のAS、バージン、サービス改善中(?)のデルタの他、特典ではJALを利用してみたいと思います。アルコールは、冬場の焼酎.日本酒、夏場はもっぱらNWクラフトビールです。(笑)

    • tak Post author

      NWエリアさん

      ビールとは面白い例えですね.私も大手のはほとんど飲みません.おっしゃるとおり万人受けする味と低価格を追求するとつまらなくなるというのは,航空業界と同じ構造のようです.
      ASの機内食はいまいち感心しませんでしたが,機内・電話ともサービスはいいですね.ヴァージンアメリカ・ジェットブルーも含め規模が小さいので,ビールでいうとマイクロブリュワリーのようにきめ細かいサービスができると思います.合併で大きくなってもこれが維持されればいいのですが.