Uberと地域の事故・犯罪率 2


また単なる統計遊びかもしれませんが・・・

Uberなどライドシェアの利点として挙げられるのが,飲酒運転の減少です.アメリカでは一部都市圏を除き車通勤が普通で,タクシーも捕まりにくいので,仕事帰りに1杯引っ掛けると即飲酒運転になってしまいます (私の住んでいる州などでは一定量以下ならOKということになっていますが).しかし手軽に車が呼べるのであれば,無理せずUberで帰り,翌朝もUberで出勤するという人が増えそうです.

一方,タクシー会社などが問題として挙げるのは以下のような点です.

  • 運転手の資格,車のチェックが不十分 (アメリカの車検は日本ほど徹底的ではありません)
  • 車の台数に関する規制がないため,路上の車の総数が増える
  • 運転中のアプリ操作や乗客との会話で気が散る

運転手が毎回評価され,点数が低いとやめさせられるというシステムがあるので,長期的には飲酒運転減少の効果の方が大きくなると私は思うのですが,可能性としてはわかります.

さらに,ライドシェアが犯罪の発生率にも影響するのではという議論もあるそうです.

  • タクシーを探してうろうろしなくてすむので,路上で犯罪に遭う確率は下がる
  • 一方,車を所有しなくても簡単に移動・逃走できるので,空き巣などのターゲットが増える
  • 帰りに運転しなくてよいということで飲み過ぎ,酔っ払いによるトラブルが増える
  • 運転手のバックグラウンドチェックが不十分なため,乗客をターゲットにした犯罪が増える.逆に運転手も厄介な客への対処法を学んでいないので,トラブルになる可能性が高くなる.

で,このほどUberを対象にライドシェアの効果を調べた研究が出てきました.Uberが各都市でいつサービスを始めたかと,公表されている交通事故・犯罪統計を突き合わせれば,Uberの影響がわかるわけです.結果,Uber進出後以下の変化が観察されました.

  • 致死事故の発生率低下 (6%程度,夜間に限れば18%)
  • 飲酒運転の検挙率低下 (ほぼ半減)
  • 暴力事件の発生率低下
  • 車の盗難事件は増加 (2倍以上)

盗難事件が増えるのは,夜間自分の車を街中に置いて帰る人が増えるためではないかとされていて,そうであれば飲酒運転が減る代償と言えます.

概ねUberに有利な結果ですが,空港ピックアップなどの可否を決める各自治体の施策に変化が出るかは未知数です.ちなみに,テキサス州オースティンではライドシェアの運転手に指紋採取を義務付けようとしたのに対抗して,Uber・Lyftともに撤退してしまいました.


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2 thoughts on “Uberと地域の事故・犯罪率

  • グローバル・フライヤー

    Uberは本当に革命的サービスで誰でも気軽に利用できる移動手段になりました。
    逆にタクシー業界は大打撃でニューヨークなどで収益が激減しているそうです。
    タクシー業界が文句を言うのもわかりますが、その前にタクシーの問題点を解決してもらいたいです。
    ・乗車拒否、遠回り、ぼったく、素早い配車、苦情のし易さ、等々。
    特にラスベガスの空港は高速を利用し遠回りしてぼったくります。
    私個人的にタクシーはUber、公共交通機関、レンタカー等の移動手段の中で最後の選択になります。
    LAXのように再開された空港もあれば、オースティン、フランクフルト、ミュンヘンなど撤退する地域もありますが、Uberには全世界で頑張ってもらい、タクシーも改善してほしいです。

    トヨタもUberと何かを検討しているそうで、便利なサービスが開発されるかもしれませんね。
    http://newsroom.toyota.co.jp/en/detail/12153200

    • tak Post author

      グローバル・フライヤーさん

      私も,特にアメリカではタクシーは最後の手段です.今までぬるま湯でやってきたタクシーが,突然競争にさらされて苦戦するのも当たり前でしょう.なんだか航空業界の米系 vs. 中東系と同じ構図のように思えます (笑).
      トヨタとの協業は面白いですね.Uberは日本では苦戦しているようですが,これを利用して拡大してほしいと思います.もっとも,日本はタクシーも悪くはないのであまり切実さはないのですが.