ここではあまり取り上げたことがありませんが,マイルの使い方としてアップグレードもあります.購入したエコノミーチケット分のマイルが加算されるというメリットはあるものの,アップグレードが通らないリスクもありますので,お得かどうかは状況次第でしょう.
米系の場合,ユナイテッド・アメリカンとデルタでは仕組みが少し違います.
UA・AA:どの運賃からでもアップグレード可・ただし現金が必要な場合も
北米~日本の自社便で片道アップグレードする場合に必要なマイル数と費用は以下の通り.
UA | AA | |||||
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運賃 | Miles | Copay | 運賃 | Miles | Copay | |
正規ビジネス→ファースト | J/C/D | 30K | $0 | J/D/R | 25K | $0 |
格安ビジネス→ファースト | Z/P | 30K | $600 | I | 25K | $550 |
正規エコノミー→ビジネス | Y | 20K | $0 | Y | 15K | $0 |
正規エコノミー→ビジネス | B | 30K | $0 | B | 15K | $0 |
格安エコノミー→ビジネス | その他 | 30K | $350~600 | その他 | 25K | $350 |
このように,アメリカンの方がマイル数・現金支出ともに少なめで,特に格安エコノミーだとお得です.ただし,日本路線はまだ斜めのシートなので,快適さではフルフラットのユナイテッドの方が上でしょう.
DL:運賃クラス限定
デルタの国際線では,Y/B/Mという非常に高い運賃クラスでないとマイルを使ったアップグレードはできません.しかも特典チャートと一緒にアップグレードチャートも消えてしまいました.アーカイブによると,北米~日本の片道アップグレードに必要なマイル数は12,500マイル (正規エコノミー) または25,000マイルとなっています.
来年6月からアップグレード可能な運賃にS/H/Q/Kが追加されますが,何人かが電話で確認したところによると必要なマイル数はY/B/Mが6万マイル (!),S/H/Q/Kが8万マイル (!!) というおそろしいことになります.レベル1のビジネス特典は片道7万マイルですから,マイルでアップグレードする意味はほとんどなくなると言ってよいでしょう.
アメリカンで試算
アメリカンでニューヨーク~成田の往復をアップグレードしたとして,コストパフォーマンスを試算してみます.10月中旬の適当な日の運賃を使い,ビジネスクラス航空券を買った場合と比較して,特典マイルボーナスがない一般会員が1マイル当たり何セントで交換できるかをビジネス特典と比較しました.
運賃 | 獲得マイル | UP費用 | 使用マイル | 合計支出 | マイル収支 | マイル単価 | |
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エコからUP | $1,550 | 15,852 | $700 | 50,000 | $2,250 | -34,148 | 4.0セント |
ビジネス特典 | $50 | – | – | 100,000 | $50 | -100,000 | 3.6セント |
有償ビジネス | $4,558 | 23,778 | – | – | $4,558 | 23,778 | – |
あくまでもアップグレードが通ったと仮定してですが,ビジネス特典よりも若干お得という結果になりました.もちろん,これはアップグレードのコストパフォーマンスが良いアメリカンだからで,ユナイテッドで同じ運賃だったとするとマイル単価は2.6セントぐらいまで落ちます.
他社でのアップグレード
同アライアンス他社でのアップグレードも一応可能です.例えばユナイテッドマイルでスターアライアンス他社フライト,デルタマイルで一部スカイチーム他社フライトをアップグレードすることができます.しかし,運賃クラスの制約が強く,ほとんど正規運賃にしか使えません.アメリカンの場合は,ブリティッシュエアウェイズかイベリア航空の正規運賃でしかマイルアップグレードはできないようです.