出張で貯めたポイントは誰のもの? 6


カリフォルニアのある市で,部下の分も含むホテルを自分名義で予約し,個人用のクレジットカードで支払って後で払い戻してもらうことにより,「税金で」ポイントとエリートステータスを獲得していたとニュースになりました.なお,ニュースで引用されている市の規定は “Frequent flyer credits”,つまりフライトマイルに関するもので,ホテルやクレジットカードポイントにも同様の規定があるのか,抜け穴になっていたのかはわかりません.
出張で貯めたマイル・ポイントが誰のものかは,特に公務員に関して日本でも議論になっていたような記憶がありますが,結局どうなったんでしょうか.ざっと検索した感じでは,勝手に使っていいというものから横領になりかねないというものまで,いろんな考えがあるようです.ちなみに,私の会社では出張で貯めたマイルを個人で使ってよいと明文化されているので,大手を振って使わせてもらっています.規定がない組織や,税金を使った出張では悩むところでしょう.
利用者としてはマイルを航空会社から「もらっている」意識がありますが,実は貯まったマイルは個人資産ではありません.例えば,AAdvantage プログラムの規定には以下の文があります.
Accrued mileage credit and award tickets do not constitute property of the member.
個人資産にしてしまうと税金など面倒なことが起こるのかもしれませんし,航空会社が勝手にチャートの改悪やルールの変更をしてよい言い訳になっているのかもしれません.
それはともかく,これではマイルが個人のものか会社のものかという議論そのものが成り立ちませんので,ここでは実際にマイルの使い方を会社が決めるべきというポリシーの会社があったとして,どのようなやり方があるかを考えてみたいと思います.
会社として一番望ましいのは,出張のマイルを会社全体で1つのアカウントにプールし,出張の航空券をそのマイルで購入するという方法ですが,法人がマイレージアカウントを作ることはできませんので,これはかなり難しそうです.会社の代表者が個人としてアカウントを作り,そこに全社員分のマイルを貯めることも考えられますが,ニュースになった例のようにホテルは可能でも,フライトの場合は実際に飛んだ人名義のアカウントに加算されることになっているので不可能です.
なお,各社とも中小企業向けのプログラムがありますが (アメリカンの Business Extra など),これは使った金額に応じてもらえるポイントをラウンジ券やアップグレード券と交換できるというもので,マイルは個人アカウントに貯まります.
次に,各社員が出張で獲得したマイルを貯めるアカウントと私用アカウントを別にしておくという方法もあります.実際に使えるマイル数が貯まるまで時間がかかるという問題はありますが,一応可能そうです.なお,1人で複数のアカウントを持つことは禁止されてはいませんが,ルールを回避するために (例えば,1年で2回ステータスを達成してアップグレード券を2倍もらうなど) 持つのは禁止されています.
ところで,マイルをクーポンに交換するならともかく,特典航空券では希望のフライトが取れるとは限らず,かえって出張の効率が悪くなるような気がしないでもありません.アメリカ連邦政府もだいぶ前に規制を強化しようとしましたが,管理が難しくて結局あきらめたそうです.


Leave a comment

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

6 thoughts on “出張で貯めたポイントは誰のもの?

  • sabana_grande

    日本の場合、マイレージを貯めている状態では
    課税の対象になりませんが、実際に特典チケット
    を獲得すると雑所得として課税対象になります。
    しかしながら確定申告している方がどれだけい
    るのでしょうかね。検索しても実例があまり出て
    こないので多分少ないと予想されます。
    私が調べた限りでは、ノーマル料金の7掛けベースで
    換算するというものがあったので、ヨーロッパを
    ファーストで往復すると結構な税額になりそうです。

  • tak-airtravel

    sabana_grandeさん
    そ,そうなんですか! サーチャージの上に所得税まで取られたのではたまったものではありませんね(汗).私も申告しているという話は聞いたことがありません.
    アメリカでは一時IRSがマイル・ポイントへの課税に向けて動いているという噂がありましたが,その後具体的な話はないようです.個人資産にならないことにしているのは,そのあたりへの配慮があるのかもしれません.

  • makomako

    日本の国家公務員では外務省はOK、法務省はNGと聞いたコトがあります。
    経験があるのが某A省ですが、ここもマイルを貯めるコトには何の問題もありませんが、極力飛行機での移動はしないように定められており、岡山ー名古屋ぐらいの距離は鈍行列車、東京でやっと新幹線。
    北海道なら船という有様でした。
    国外出張でしか飛行機も使えず、それもそんなにあるわけではないので、みんなマイルは捨てていた印象です。
    ちなみにこれは一般的な事務官の話で、官僚はわかりません。
    事務官も等級ごと分けられており、部長クラスではビジネスが使えるので溜まりそうです。

  • tak-airtravel

    makomakoさん
    省庁によって違うということは,結局ポリシー次第ということなんですね.
    しかし岡山~名古屋を鈍行で行くのはかえって効率が悪そうな気がしますが・・・ 北海道の船もすごいですね.大阪から「日本海」なら喜んで乗りますが (もう廃止されたかな?).

  • shoji

    なかなか結論の出ない(正解のない)テーマですよね。
    ただ私の中では答えがあったりしますけど(笑)
    私の勤務する会社では『マイルを使って出張してはならない』となっています。規定はそれだけ。
    つまり、マイルは勝手にして良いということです。貯めても良し、貯めないでも良し、個人の好きなようにということです。
    おおっぴらに『マイルで旅行したよ〜』なんて言わないのが大人。これが大事ですよね。
    社長以下多くのメンバーがおそらく三分の一以上がいろいろな航空会社(ANA/JAL/CXあたりが多い)の上級会員ですので、上手にマイルと付き合っていると思います。

  • tak-airtravel

    shojiさん
    会社なら規定次第ということになるのでしょう.shojiさんのところはちょっと回りくどい言い方ですね(笑).
    私の会社もたぶんUAの上級会員が多いと思いますが,マイルを使ったとか,クレジットカードでマイルを・・・という話はしないですね.でもときどきちらっと見ると航空会社系のカードを使っている人が多いので,みんな結構貯めているのだと思います.