どこかで聞いたようなタイトルだと思ったら,昨年も同じような記事を書いていたようです.私の気が短いのか,航空業界の変転が激しいのかよくわかりませんが,昨年から本格的に乗り始めたデルタのステータスを早くも見直すというお話です.
ステータスを追求する価値があるかどうかは,それぞれのフライトのパターンによると思います.私の場合,幸い海外出張はだいたいビジネスで行けますので,国内線を快適に飛ぶのがステータスを維持する主な目的です.
デルタでは来年5月16日以降コンフォートプラスが別運賃クラス (W) になります.ダイヤモンド・プラチナ会員はコンフォートプラスへのアップグレード枠 (WU) に空きがあればすぐアップグレードされることになっていますが,実際にはWに空きがあるのにWUにはない,という状況が頻発しているようです.今までは予約時コンフォートプラスに空席があれば無料で選べたのに,今後はファーストへのアップグレードと同じく運を天に,いやデルタに任せるしかありません.
もちろん自腹で運賃差額を払えばいいわけですが,それならもうデルタでステータスを維持する必要はなく,もっとマイルを貯めやすい・使いやすい加算先に乗り換えようということになります.
その際,スカイチームのステータスをどう考えるかがポイントになります.スカイチームの場合,スターアライアンスやワンワールドと違って上級会員 (エリートプラス) でも国内線利用時にはラウンジが使えません.逆に,アメックスプラチナがあればデルタラウンジが使えますし,エールフランスなどプライオリティパスに入っているラウンジも多いようなので,ラウンジアクセスはステータスにこだわる理由になりません.それ以外の理由となるとスカイプライオリティや手荷物ですが,そこまでの価値があるかというと疑問です.
それでもやはりエリートプラスは維持することにした場合,密かにアリタリアも候補に考えていましたが,特典予約があんなに無茶苦茶となるとさすがにためらわれます.そうなるとスカイチームの中での現実的な選択肢はフライングブルー (エールフランス・KLM) しかなさそうです.特典の必要マイル数は多めのようですが,以下のような長所もあります.
- マイル加算は距離制
- オンライン特典予約は多数の提携他社を網羅
- SPG はもちろん,Citi やアメックスからも移行可能
- ときどき必要マイル数25~50%引きのプロモーションがある.下のように,ヨーロッパ~バンクーバーのビジネス往復が62,500マイルというのはかなりお得ですね.
一方,マイルの価値という意味ではアラスカ航空がダントツでしょう.ただし移行できるポイントは SPG ぐらいしかなく,飛ぶか Bank of America のクレジットカードを作るしかマイルを貯める方法がありません.デルタと敵対関係にあるので,デルタプラチナをちらつかせれば少なくともMVP Goldにはマッチしてくれると思いますが,地元にアラスカ航空が飛んでいないためステータスの恩恵をあまり受けられないのが玉に瑕です.
ステータスを完全にあきらめるとすると,スカイチームのファースト特典が取れる (はずの) 大韓航空もありかもしれません.ここでエリートプラス相当のステータスを獲得するにはライフタイムマイルが必要なので,考えないことにします.
ステータス
まずはエールフランスとアラスカ航空のステータス比較です.どちらも3段階あり,必要なステータスマイル数と特典マイルのボーナスはこうなっています.アラスカ航空は他社便を含む場合,エールフランスはフランス国外在住の場合です.
アラスカ航空 | エールフランス | ||||
---|---|---|---|---|---|
MVP | 25K | 50% | Silver | 25K | 50% |
MVP Gold | 50K | 100% | Gold | 40K | 75% |
MVP Gold 75K | 90K | 125% | Platinum | 70K | 100% |
ボーナスはアラスカ航空の方が多いですが,基準は少し厳しく,一長一短のようです.エールフランスでは,前年以上のステータスを維持すれば余ったステータスマイルは翌年に繰り越せます.
アラスカ航空のステータスがあるとデルタでも座席や搭乗で多少の特典があります.また,MVP Gold 75K を達成する度に5万ボーナスマイルがもらえるそうで,これは結構大きいです.9万マイルはやや大変ですが,エミレーツやアイスランド航空などとも提携していることを考えると,ステータスマイルが貯まる航空会社が多様になるという楽しみもあります.
特典マイル加算率
次に特典マイル加算率を,私が乗る機会の多そうなデルタとエールフランスで見てみます.まずはデルタフライト.
デルタ運賃クラス | AF | AS | KE | |
---|---|---|---|---|
ファースト | F, P | 200% | 200% | 100% |
A | 175% | 175% | 100% | |
G | 125% | 125% | 100% | |
ビジネス | J, C | 175% | 175% | 100% |
D, I | 150% | 150% | 100% | |
Z | 125% | 125% | 100% | |
エコノミー | W | 125% | ||
Y | 100% | 125% | 100% | |
B | 100% | 100% | 100% | |
M, S | 100% | 100% | 75% | |
H | 75% | 75% | 75% | |
Q, K | 50% | 75% | 50% | |
L | 50% | 50% | 0% | |
U, T, X, V | 25% | 50% | 0% | |
E | 25% | 25% | 0% |
大韓航空は,正規ファーストでも100%と売られた喧嘩は買う姿勢です.エールフランスとアラスカ航空にはほとんど差がありませんが,国内出張で使いそうなエコノミーがAS>=AFなのは意外と大きいかもしれません.次にエールフランスフライトの場合.
エールフランス運賃クラス | AF | AS | KE | |
---|---|---|---|---|
ファースト | P, F | 300% | 150% | 165% |
ビジネス | J, C | 175% | 125% | 125% |
D, I | 150% | 125% | 125% | |
Z | 125% | 125% | 125% | |
プレエコ | W, S | 125% | 125% | 125% |
A | 100% | 100% | 100% | |
エコノミー | Y, B, M | 100% | 100% | 100% |
U | 100% | 75% | 100% | |
K | 75% | 75% | 75% | |
H, L, Q | 50% | 50% | 50% | |
T, E, N, V, R, G | 25% | 25% | 25% |
エールフランスが自社便ということで優遇しており,AF>KE>ASという感じです.
来年の予約済みフライトでシミュレートしてみたら,ステータスマイルはエールフランスで約3万2千,アラスカ航空で約2万5千となりました.
特典必要マイル数
最後に特典の必要マイル数の比較.アラスカ航空は提携先によりばらばらなので,目的地により興味のあるエアラインを独断で選びました.また大韓航空は自社便とスカイチーム他社 (片道不可) でチャートが分かれています.北米発,片道ビジネス (上段)・ファースト (下段) の必要マイル数は以下のようになっています.
AS | AF | KE (自社) | KE (提携)*1 | |
---|---|---|---|---|
北米 | 25,000 (CX) | 31,250 | – | 22,500 |
35,000 (CX) | – | – | ||
ヨーロッパ | 62,500 (AF) | 62,500 | – | 40,000 |
100,000 (EK) | – | 50,000 | ||
アジア1 |
50,000 (CX)*2 | 100,000 | 62,500 | 70,000 |
70,000 (CX)*2 | 80,000 | 90,000 | ||
アジア2 |
75,000 (EK)*2 | 100,000 | 75,000 | 77,500 |
100,000 (EK)*2 | 95,000 | 100,000 | ||
インド |
72,500 (EK) | 100,000 | 85,000 | 85,000 |
90,000 (EK) | 105,000 | 115,000 | ||
アフリカ | 77,500 (EK) | 100,000 | – | 60,000 |
100,000 (EK) | – | 80,000 | ||
OZ/NZ | 60,000 (AF) | 125,000 | 97,500 | 92,500 |
80,000 (CX) | 120,000 | 130,000 |
*1 必要マイル数2倍の往復のみ.
*2 キャセイ・エミレーツはいずれもアジアの必要マイル数共通
これを見ると,やはりアラスカ航空のチャートがよさそうに見えます.スカイチームだけでなく,キャセイに関してはアメリカン改悪後のバックアップにもなりそうです.大韓航空も悪くありませんが,他社便は往復のみというのが厳しいところです.
まとめ
以上を考慮して,今のところアラスカ航空にステータスマッチ→少なくともMVP Gold維持,という方向に傾きつつあります.