アメリカンのステータスを捨ててユナイテッドかデルタへ移籍することを考えているので,米系大手3社のステータス条件を改めて見てみました.デルタが最初に金額基準を導入した後すぐにユナイテッドが追従し,アメリカンも合併が一段落したところで真似をしたわけですが,後発の2社がさらに極端な方向に進んだ結果,今やデルタだけが距離基準を維持しているという不思議な状況です.
アメリカン
アメリカンは2022年の実績に基づく2023年のステータスから距離・フライト数の基準を廃止し,運賃・サーチャージから計算される Loyalty Point (LP) 一本になります.またステータスの有効期間が4月〜翌年3月までに変わります.なお移行の特例で,2021年のステータスは2022年3月末まで延長され,2022年1月・2月のフライトは旧基準での2022年のステータスおよび新基準での2023年のステータスの両方にカウントされることになりました.
LP基準 | 1USDあたりLP | 一般会員から達成するための金額 | 維持するための金額 | |
---|---|---|---|---|
一般 | 0 | 5 | 0 | 0 |
ゴールド | 30,000 | 7 | 6,000 | 4,300 |
プラチナ | 75,000 | 8 | 12,500 | 9,400 |
プラチナプロ | 125,000 | 9 | 18,700 | 13,900 |
エグゼクティブプラチナ | 200,000 | 11 | 27,100 | 18,200 |
LP は要するに今までの特典マイルで,ステータスによってボーナスが加算されるため,ゼロから到達するよりも維持する方がかなり楽です.それでも,今までのエグゼクティブプラチナのEQD基準15,000 (2022年のステータスに関してはコロナ特例で12,000) から2割増しとだいぶ厳しくなります.ただしクレジットカードの利用も1ドル=1LPでカウントされるので,ついでにクレジットカード利用を増やす一石二鳥を狙っているのでしょう.
ステータス達成には距離もセグメント数も関係ありませんが,プラチナプロ以上が対象の Loyalty Choice 特典をもらうには30セグメント以上 (特典航空券を含む) 乗らなければなりません.
ユナイテッド
ユナイテッドではセグメント数 (PQF) ・金額 (PQP) 併用と,PQPのみの条件があり,いずれもユナイテッドのフライト4セグメント以上が前提です.コロナ特例で2023年ステータスの基準は「通常」より緩くなっています.
PQF/PQP (2023) | PQPのみ (2023) | PQF/PQP (通常) | PQPのみ (通常) | |
---|---|---|---|---|
シルバー | 8/3,000 | 3,500 | 12/4,000 | 5,000 |
ゴールド | 16/6,000 | 7,000 | 24/8,000 | 10,000 |
プラチナ | 24/9,000 | 10,000 | 36/12,000 | 15,000 |
1K | 36/13,500 | 15,000 | 54/18,000 | 24,000 |
2022年ステータスに限りクレジットカードの利用でもPQPが加算されましたが,通常は Presidential Plus カードのみの特典です.アメリカンと違い,ステータスを持っていることによって維持が楽になることはありません.
デルタ
とうとうステータスに距離が関係するのはデルタのみになってしまいました.ここはコロナ特例で2021年のステータスが2023年1月まで延長されていますが,同じステータスであればアップグレードは2021年中にきちんと達成した人が優先されるそうです.
MQM/MQS | MQD | |
---|---|---|
シルバー | 25,000/30 | 3,000 |
ゴールド | 50,000/60 | 6,000 |
プラチナ | 75,000/100 | 9,000 |
ダイヤモンド | 125,000/140 | 15,000 |
クレジットカード利用によりMQD基準を回避することができます.また,何らかのステータスがあれば余ったMQMを翌年に繰越せます.
比較
基準がバラバラでどこが楽かは一概には言えないのですが,とりあえずアメリカンのハードルがかなり上がったのは間違いありません.ユナイテッドもコロナ特例が終わったらかなり厳しくなります.いずれも最高ステータス達成に必要な金額は,年間これだけ航空券に費やす人であれば最初からビジネス・ファーストに乗るのではというレベルで,修行をしてまで達成したい人がいるのか疑問です.ま,修行僧を排除するのが目的なのかもしれませんが.
一般的にはラウンジが使えるようになるステータス (アメリカン:プラチナ,ユナイテッド・デルタ:ゴールド) が狙い目になると思いますが,アメリカ国内線利用時には使えませんし,アメリカン・ユナイテッドのように1万ドル以上払うぐらいなら最初からラウンジ会員が付くクレジットカードを取ってしまった方がよい気がします.また,これも最初からビジネス・ファーストを買う人には関係ありません.
ところで,移籍するなら今のプラチナプロステータスを利用してステータスマッチを試みるのが常道です.これについては,現在マッチを中断しているユナイテッドの条件が発表されたところでまとめたいと思います.