米系は伝統的に国内線ファーストクラスを上級会員特典の目玉にしてきましたが,数年前から積極的に有償販売するという姿勢に転換しています.有償ファーストクラスの運賃を下げるだけでなく,エコノミーを購入した客に対して安価にアップグレードを販売するという手法も使っていて,まもなく無償アップグレードは過去のものになるかもしれません.
中でもデルタとユナイテッドが積極的で,デルタはいずれ7割を有償客で埋めたいと公言しているほどです.ユナイテッドは公式には認めていませんが,上級会員が多数アップグレードの空席待ちをしているのに,ステータスのない客を対象に超格安 (場合によっては手荷物預け料金程度) でアップグレードを販売しているという噂が絶えません.
これに対し,アメリカンは独自路線を行っています.そもそもプラチナ以下のアップグレードは無償ではなく,500マイル券を獲得 (12,500EQMごとに4枚) するか購入するかしなければなりません.そのせいもあって空席待ちリストは短いことが多く,ときにはファーストに空席があることもあります.そこでアップグレード待ちの人数よりファーストの空席が多い場合,これまでは一般会員を対象に,チェックイン時にアップグレードを早い者勝ちで安く販売していたようです.
ところが,7月末から同様の状況でのアップグレードがシステマティックになりました.フライト数日前にメールで一般会員にアップグレード販売の案内が送られ,これに応じた人たちで別リストが作られます.上級会員のアップグレードが処理された後,フライト前日にこのリストから順次アップグレードが確定していく,というシステムのようです.この通りになるとすれば,上級会員の特典を確保しつつ,余剰席で収益を確保するという優れたシステムといえます.特に,ユナイテッドと違い上級会員のアップグレードを確保してからというのが偉いです・・・システムが仕様通りにプログラムされていればの話ですが.