米系大手エアラインステータスの (微妙な) 違い 6


アメリカンがついに特典マイル (8月1日から)・ステータス (2018年ステータスから) とも金額基準に移行して,米系大手3社のマイレージプログラムはどれも似たり寄ったりになってしまいます.もうステータスなんか気にせず,そのときどきでスケジュール・値段的に一番よいところに乗る,という人もいるでしょうが,だからこそ微妙な差が重要になってくるとも言えます.3社のステータスの違いをまとめてみました.

ステータス基準

2017年から各社ともステータスレベルが4段階になります.エアラインごとに名前が違ってややこしいので,ここでは仮に上からA, B, C, Dと呼んでおきましょう.デルタのレベルAが他社より厳しいのと,セグメント数が微妙に比例していないあたりが違いますが,金額基準に関しては平均12cpm以上と横並びです.これを見ると,もう3社の差はほとんどありません.

AA DL UA
レベル 名称 EQM EQS EQD 名称 MQM MQS MQD 名称 PQM PQS PQD
A Executive Platinum 100,000 120 $12,000 Diamond 125,000 140 $15,000 1K 100,000 120 $12,000
B Platinum Pro 75,000 90 $9,000 Platinum 75,000 100 $9,000 Platinum 75,000 90 $9,000
C Platinum 50,000 60 $6,000 Gold 50,000 60 $6,000 Gold 50,000 60 $6,000
D Gold 25,000 30 $3,000 Silver 25,000 30 $3,000 Silver 25,000 30 $3,000

しかし,以下のように細かく見るといろいろ違いがあり,ステータス達成のしやすさに影響します.

金額基準にカウントされる費目・フライト

運賃・サーチャージは当然全社でカウントされますが,座席追加料金や他社発券分の扱いや,免除基準は少しずつ違います.ユナイテッドで他社発券分が一切カウントされないのが厳しいところ.アメリカンのEQD免除基準はまだ検討中だそうです.

AA DL UA
運賃
サーチャージ
座席追加料金 ×
自社発券・他社運航
他社発券・他社運航 ○ (距離基準) ○ (距離基準) ×
海外在住者免除 ×
クレカ利用額による免除 $25,000 $25,000 (A以外)

クレジットカードによるステータスマイル

各社とも,提携クレジットカードを一定額以上使うとステータスマイルがもらえます.ただしユナイテッドはもう新規会員を募集していない Presidential Plus カードのみなので,実質ないと考えたほうがよさそうです.なお,デルタは何らかのステータスを達成すると余ったMQMを翌年に繰り越すことができ,全体としてMQMを貯めやすいといえます.

AA DL UA
カード 利用額 EQM カード 利用額 MQM カード 利用額 PQM
Executive $40,000 10,000
Platinum
$25,000 10,000 Presidential Plus $5,000 1,000
(上限なし,A以外)
Aviator Silver
$20,000 5,000 $50,000 20,000
$40,000 10,000
Reserve
$30,000 15,000
$60,000 30,000

次にステータス特典を比較します.

メインキャビンエクストラ・コンフォートプラス・エコノミープラス

これらを一括して呼べるいい名前はないでしょうか? プレミアムエコノミーはさらに上級クラスを指すことが多いですし,米系では今後混在するところもあるので,使うのは抵抗があります・・・

それはともかく,この席をいつ無料で選べるか (デルタの場合は「アップグレード」されるか) はステータスによって違います.また,良い席を得られる確率はこのキャビンのサイズに左右されます.席数はユナイテッド>アメリカン>デルタというイメージですが,アメリカンでも旧USエアウェイズ機材にはメインキャビンエクストラが装備されていないものも多いので要注意です.

レベル AA DL UA
A 予約時 発券後すぐ 予約時
B 予約時 発券後すぐ 予約時
C 予約時 72時間前 予約時
D 24時間前
(それまでは50%引)
24時間前 24時間前

国内線ファーストクラスアップグレード

国内線のアップグレードは最近どこも厳しく,どのくらい重視すべきか迷うところです.アメリカンは500マイル以上のフライトでレベルA/Bを除き「500マイル券」が必要なところがユニークで,来年以降も存続します.これがあるおかげで,低いステータスでも比較的アップグレードされやすいようです.

レベル AA DL UA
確定 (早くて)
A 100時間前 120時間前 96時間前
B 72時間前 120時間前 72時間前
C 72時間前
(2017年から48時間前)
72時間前 48時間前
D 24時間前 24時間前 24時間前
費用
A/B 無償 無償 無償
C/D 500マイル券
(500マイル未満は無償)
無償 無償
即時アップグレード A
Y/B
× Y/B/M
B/C/D Y/B
特典航空券  A  500マイル券 (2017年~)  ○ クレカ保有者
 B  ×  ○ クレカ保有者
 C  ×  ○ クレカ保有者
 D  ×  × クレカ保有者

アップグレード券

上から2番目のレベルまで,アップグレード券が配付されるのが普通です.デルタとユナイテッドではどのフライトでも使えるものと原則国内線しか使えないものの2種類がありますが,アメリカンは前者 (SWU) のみで,現時点での情報ではレベルAにしか配付されません.また利用可能な運賃にも差があります.

デルタはこの3種類の組み合わせからの選択制.ユナイテッドの場合はPQMに応じてさらにもらえます.アメリカンも同様という話がありますが,明確な基準は公表されていないと思います.

AA DL UA
種別 SWU GUC RUC GPU RPU
運賃 全て E以外 E以外 W以上
(国内線は全て)
全て
A
4(+?)
4 0
6+
2+
0 8
2 4
B 0? 0 4 0 2

その他

各種手数料が免除になるのもステータスの大きな特典です.同日変更と特典に関するものをまとめました.アメリカンがレベルAを特別扱いしているのがよくわかりますが,新設のレベルBがどうなるかも注目されます.

レベル AA DL UA
同日変更手数料免除 A
B ?
C ×
D × × ×
特典変更・キャンセル手数料免除 A
B ? 割引
C × × 割引
D × × 割引

あと残るはアライアンス全体での特典でしょう.レベルAに達するほど飛ぶのであれば,アライアンスのステータスが3段階あるワンワールド,つまりアメリカンが断然お得だと思います.レベルB/C程度であれば,世界的に評価の高いエアラインが多いスターアライアンス (ユナイテッド) がよさそうで,スカイチーム (デルタ) はやはりかなり見劣りします.


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6 thoughts on “米系大手エアラインステータスの (微妙な) 違い

  • lulu

    無知ですみません、教えて下さい。

    <アメリカンがついに特典マイル (8月1日から)・ステータス (2018年ステータスから) とも金額基準に移行して

    「特典マイルが金額基準」というのが分かりません。いまAAマイル安売りしてるので買おうと思っているのですが、特典マイルがどうかなるのでしょうか?よろしくお願いします。

    • tak Post author

      luluさん

      説明不足ですみません.この特典マイルはフライトで加算される特典マイルのことです.今までは (フライト距離)×(クラスに応じた係数) だったのが,8月1日からは (運賃+サーチャージ)×(ステータスに応じた係数) に変わります.
      購入する方の特典マイルは特に変わりませんし,使い方も今まで通りです.今のセールはかなりお得ですね.

      • lulu

        takさん、ありがとうございます。マイラーはやめたので、ちんぷんかんぷんでした(笑)。

        <8月1日からは (運賃+サーチャージ)×(ステータスに応じた係数) に変わります

        厳しいですね~今のセールに乗りたいと思います。

        • tak Post author

          luluさん

          いえいえ,どういたしまして.米系はマイラーにはかなり厳しくなってしまいました.マイルが必要ならクレカか購入が正解だと思います.

  • NWエリア

    AA新基準となった、(米国以外でも)EQD適用XXドルですが、他国のGNP・GDPレベルを考慮すれば、AAのプレミアステイタスの維持は、国・地域によっては非常に困難になるものと思われます。(日米間でも影響があるくらいですから。)

    比較チャート情報まことに有難うございました。来年以降の飛行プランに役立ちます。ヴァージン.アメリカを買収後、米国で第4位の規模となったアラスカとの比較チャートも(今後は)欲しいところです。(無理を言って大変申し訳ありません。) 買収したヴァージン・アメリカのプログラムは、ヴァージン.アメリカ顧客愛好家のために、アラスカ.エアラインは完全統合せず そのままバージンのプログラムを維持する方針のようです。

    確かにレベルB・Cでは、スタアラ選択が良い感じですね。

    • tak Post author

      NWエリアさん

      他社発券・フライトは距離で代用しますので,CMBなど全体に航空券が安いところであればかえって楽になるかもしれません.
      今回は,ASが (まだ?) 金額基準でなく「明らかに」違うので省略しました.エコノミープラス席もないですし,アップグレードの仕組みも少し違うので,今のところかなり独自路線です.ASとVXではカラーがあまりに違うので,ブランドを残すのは正解だと思います.実際ヨーロッパではBA/IB,AF/KLなど親会社が同じでも別々のエアラインとして運航していますね.