搭乗バトル


アメリカでは日本と比べると搭乗にかなり時間がかかります.737ぐらいの飛行機でも満席だと出発時刻の30分以上前から搭乗を開始し,なんとか間に合う感じです.たまに日本で乗ると,777でも搭乗開始が出発20分前になっていて間に合うのかと心配になりますが,ちゃんと定刻に出発するので感心してしまいます.
主な理由は大多数の人が大きな荷物を持っているからです.エリート会員でない人は手荷物を預けるのにお金がかかるのでなるべく持ち込もうとするし,旅慣れたエリート会員は着いたらさっさと空港を出たいのでやはり持ち込もうとします.
頭上の収納スペースには限りがありますから,搭乗が遅くなると席から離れた場所しか空いていなかったり,最悪の場合にはゲートで荷物を預けさせられたり (さすがにこの場合は無料) します.ということで,みんなできるだけ早く搭乗しようとしてバトルが繰り広げられることになります.
そこで,どこの航空会社でも搭乗クラスやエリートレベルによって搭乗する順番を決めています.搭乗券にはたいていゾーン番号というのが書いてあり,その番号が呼ばれたときに搭乗する仕組みです.国内線だとファーストクラスから始まって,上級エリート会員,その他のエリート会員とアライアンス他社エリート会員の順で乗り込み,その後一般搭乗に移る,というパターンですが,ファーストクラスと上級エリート会員を一緒のグループにするかなど航空会社によって微妙に差があります.こちらはユナイテッドの例.
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いくら厳密に決めても,ゲート付近が狭くて後のゾーンの人が並んでしまうと前のゾーンの人がゲートに辿り着けなかったり,間違ってかわざとか本来のゾーンより早く搭乗する人が後を絶たなかったり,と現実にはいろいろと問題があります.成田などでは列の整理をするスタッフがいますが,アメリカ国内線ではなかなかそこまでの人数を配置できないという事情もあるでしょう.
根本的な問題はみんなが荷物を持ち込むことにあるので,昔のように無料にして運賃に含めればよいという意見もあります.これに対する反対意見は主に2つ.
まず,すでに無料であるエリート会員も預けようとしないことから考えると,お金だけの問題でもなさそうだということ.預け入れ手荷物の紛失を減らし,到着後は荷物が素早く出てくるようにしないと,預ける人は増えないでしょう.
もうひとつは,荷物を預けない人も運賃値上げという形で負担させられるのは不公平だという意見.アメリカでは受益者負担という考え方が根強いので,運賃は最低限にして,いろいろなオプションを有料で付けるという最近の傾向は結構支持されています.
ちなみに,日本にお住まいだとほとんど乗ることはないと思いますが,サウスウェスト航空は独自路線を行っています.まず,1人2個まで荷物の預け入れが無料です.また座席が事前に決まっておらず,チェックイン順に通し番号が割り振られます.搭乗ゲートのところで番号順に並び,そのまま搭乗して空いている好きな席に座るのです.例外としてエリートや追加料金を払った人は,チェックインが遅くても若い番号がもらえます.個人的には,この方法は修学旅行のバスのようでいやなのですが,すっきりしているといえばすっきりしているかもしれませんね.

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